高温環境下での走運動による脱水が骨格筋内の水分子の特性に及ぼす影響
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.39 Vol.39】
要旨
高温環境下のスポーツ活動による脱水が熱中症発症の主要因であることは広く知られている.本研究では,高温環境下で走運動より脱水が生じたラットの骨格筋における水分子,およびその関連因子の特性について検討した.高温環境下で走運動を行った結果,速筋(前脛骨筋)の水分含有率および自由水量に有意な変化は認められなかった.一方,遅筋(ヒラメ筋)においては,水分含有率および自由水量が高温環境下での走運動により有意に低下した.骨格筋における水分子輸送機構であるAQP4およびAPQ1,ならびに水分子を活用した浸透圧調節機構であるα2Na,K-ATPaseの発現レベルに有意な変化は認められなかった.以上,本研究は,高温環境下の走運動による脱水により,主動筋では筋内の自由水を中心に水分子が著しく喪失することを明らかにした.一方,脱水は,水分子輸送機構や浸透圧調節機構を構成するタンパク質の発現レベルには影響を及ぼさない可能性が示唆された.
「デサントスポーツ科学」第39巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
高温環境下のスポーツ活動による脱水が熱中症発症の主要因であることは広く知られている.本研究では,高温環境下で走運動より脱水が生じたラットの骨格筋における水分子,およびその関連因子の特性について検討した.高温環境下で走運動を行った結果,速筋(前脛骨筋)の水分含有率および自由水量に有意な変化は認められなかった.一方,遅筋(ヒラメ筋)においては,水分含有率および自由水量が高温環境下での走運動により有意に低下した.骨格筋における水分子輸送機構であるAQP4およびAPQ1,ならびに水分子を活用した浸透圧調節機構であるα2Na,K-ATPaseの発現レベルに有意な変化は認められなかった.以上,本研究は,高温環境下の走運動による脱水により,主動筋では筋内の自由水を中心に水分子が著しく喪失することを明らかにした.一方,脱水は,水分子輸送機構や浸透圧調節機構を構成するタンパク質の発現レベルには影響を及ぼさない可能性が示唆された.
「デサントスポーツ科学」第39巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 石道峰典 |
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大学・機関名 | 大阪工業大学 |
キーワード