信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 概日リズムリセット時の運動意欲における摂食促進ホルモン・グレリンの新たな役割

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.39 Vol.39

 要旨

 グレリンは,ドーパミン神経を介して摂餌行動のモチベーションや脳内報酬系に関与している.今回我々は,グレリンノックアウト(GKO)マウスを用いて,グレリンの自発運動発動因子としての役割を明らかにした.野生型(WT)マウスの血中グレリン濃度は,暗期の始まりと終わりの二峰性にピークを示し,その両ピークと同じ時間帯に,WTマウスでは回転カゴの回転数は顕著に増加したが,GKOマウスでの増加は軽微であった.GKOマウスに対するグレリン受容体アゴニストの単回連続投与は,回転カゴの回転数を大幅に増加させたが,浸透圧ミニポンプによる持続投与では増加は認められなかった.脳内ドーパミンレベルに関して,WTマウスと比較してGKOマウスでは減弱していた.以上の結果から,血中グレリン濃度のサージ的な上昇は中枢ドーパミンシステムを介した自発運動に対するモチベーションに重要な役割を演じていることが示唆された.

「デサントスポーツ科学」第39巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 御船弘治, 田尻祐司, 滿園良一
大学・機関名 久留米大学

キーワード

グレリン運動意欲概日リズムグレリン欠損マウス摂食促進ホルモン