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大学院総合医理工学研究科の博士課程3年生の田路翼さん(市野隆雄研究室)を含む研究グループが、乗鞍山域と美ヶ原山域に生息するオドリコソウの花のサイズが、遺伝的な近さよりも、その花に訪れるハチのサイズに相関していることを明らかにしました

【概要】
総合医理工学研究科総合理工学専攻の博士課程3年生の田路翼さん(市野隆雄研究室)と理学部生物学コースの卒業生である石本夏海さん(元市野隆雄研究室)、理学部研究員の江川信さん・中瀬悠太さん、長崎大学 総合生産科学域(環境科学系)の服部充さん、理学部生物学コースの市野隆雄教授が共同して執筆した論文がBMC Ecology and Evolutionに掲載されました。
 本研究はフィールド調査と集団遺伝解析という2つの手法を組み合わせたものです。フィールド調査では、乗鞍山域と美ヶ原山域に生息するオドリコソウの花のサイズの地理的変異を示し、花のサイズはその集団に訪れるハチのサイズに明確に相関していることを示しました。つまり、大きなハチが訪れる集団では花のサイズが大きく、小さなハチが訪れる集団では花のサイズが小さくなっていました。遺伝解析では山域間でおおまかに遺伝的な構造(山域間での遺伝的分化)があることを示しました。

この2つの結果を合わせてみると、各集団の花のサイズは遺伝的な構造とは関係なく、遺伝的に近い集団間(同じ山域に属する集団間)であっても花のサイズは大きく異なることがあり、遺伝的に遠い集団間(異なる山域に属する集団間)であっても花のサイズが似たような大きさになっていることがあると分かりました。このことから、オドリコソウの花のサイズは、2つの山域でそれぞれ独立に進化したことが示唆されました。

【論文タイトル】
Intraspecific convergence of floral size correlates with pollinator size on different mountains: a case study of a bumblebee‑pollinated Lamium (Lamiaceae) flowers in Japan

【著者】
Tsubasa Toji , Natsumi Ishimoto, Shin Egawa, Yuta Nakase, Mitsuru Hattori, Takao Itino
調査地のうちの1つ。林道沿いにオドリコソウの群落がある。
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