信州大学 医学部 皮膚科学教室

東京大学医科学研究所附属病院 脳腫瘍外科

悪性黒色腫(皮膚がん)の
新たな治療法開発に
ご協力いただける方を
募集しています。

患者ご本人様、ご家族、医療従事者の方、
「詳しい説明を聞きたい」「治験に参加してみたい」という方、
お気軽にお問い合わせください。

信州大学医学部附属病院臨床研究支援センター 0263-37-3389 東京大学医科学研究所附属病院TR・治験センター 03-5449-5462 お問い合わせフォーム

治験の内容

がんのウイルス療法を行います

ウイルス療法とは?

がんのウイルス療法とは、がん細胞のみで増えることができるウイルスを感染させ、ウイルスが直接がん細胞を破壊する治療法です。

ウイルス療法では、遺伝子工学技術を用いてウイルスゲノムを「設計」して、がん細胞ではよく増えても正常細胞では全く増えないウイルスを人工的に造って臨床に応用します。がん細胞だけで増えるように工夫された遺伝子組換えウイルスは、がん細胞に感染するとすぐに増殖を開始し、その過程で感染したがん細胞を死滅させます。増殖したウイルスはさらに周囲に散らばって再びがん細胞に感染し、ウイルス増殖、細胞死、感染を繰り返してがん細胞を次々に破壊していきます。一方、正常細胞に感染した遺伝子組換えウイルスは増殖できないような仕組みを備えているため、正常組織は傷つきません。

がん細胞
正常細胞

投与する「T-hlL12」とは?

三重変異を有する第三世代の遺伝子組換えヒト単純ヘルペスウイルス1型(HSV?1)のことです。
東京大学で膠芽腫を対象に医師主導治験Ⅱ相が行われ、安全性とともに有効性が示された第三世代HSV-1(G47Δ)の改良型を投与します。ヒトIL-12が組込まれており、腫瘍細胞の中で複製する際にIL-12が発現するので効率的に腫瘍免疫を惹起します。

T-hIL12のDNA構造:三重変異とIL-12の組込み

T-hIL12のDNA構造:三重変異とIL-12の組込み
治験の流れ
2回投薬する場合の例
がん細胞
4回投薬する場合の例
がん細胞
治験費用

患者さん自身の健康保険が適用されます

医師主導治験に関わる診療には患者さん自身の健康保険が適用され、自己負担分の支払いが生じます。なお治験薬に対する費用は生じません。

プラセボ試験

プラセボの投与はありません

被験薬を検証するためのプラセボ(偽薬)の投与は行いません。

よくあるご質問

よくあるご質問

治験薬はどのように投与されるのですか?
T-hIL12の投与は入院して行われます。入院期間については第Ⅰ相(治験薬のみ投与)では、原則、投与終了後28日まで入院していただきます。但し、T-hIL12の投与終了後7日以降に担当医師が、あなたの安全性を外来管理下で確保できると判断した場合には退院することも可能です。第Ⅱ相(治験薬をニボルマブに上乗せ投与)では、入院期間については担当医師との相談によって決まります(第Ⅰ相、第Ⅱ相については、臨床試験の概要をご覧ください)。
具体的な投与方法は、3 x 108 pfu(ウイルス量の単位)のT-hIL12を1 mlに希釈し、2週間(4週間まで許容)おきに悪性黒色腫の皮膚・皮下又はリンパ節病変の最大10か所に注射器で投与します。
治験薬の副作用として何がありますか?
治験薬のT-hIL12は今回の治験で初めてヒトに投与します。今回の治験の重要な目的は治験薬の副作用を調べることです。現時点では次のような副作用が想定されます。
まず、T-hIL12とよく似たがん治療用ヘルペスウイルスである、IMLYGICR(イムリジックR)という薬が海外ですでに承認されています。その治験中に292人の悪性黒色腫患者さんに使用されていますので、お知らせいたします。この治験において少なくとも5%以上発現した副作用を列挙します(発現率(%)および発現数を示し、重複例を含みます)。イムリジックの投与期間の中央値は23週間(5.3ケ月)、うち26例の患者さんは少なくとも1年間投与を続けることができました。ただし、これらの副作用が、T-hIL12の投与の際にも起こるかどうかはまだわかりません。
< T-hIL12とよく似たイムリジックという薬にて発現した副作用>
疲労感50.3%(147例)、悪寒48.6%(142例)、発熱42.8%(125例)、インフルエンザ様症状30.5%(89例)、注射による痛み27.7%(81例)、吐き気 35.6%(104例)、嘔吐21.2%(62例)、下痢18.8%(55例)、便秘11.6%(34例)、腹痛8.9%(26例)、筋肉痛17.5%(51例)、関節痛17.1%(50例)、手足の痛み16.4%(48例)、頭痛18.8%(55例)、めまい9.6%(28例)、咽頭痛5.8%(17例)、体重減少5.8%(17例)
報告された副作用の多くは、比較的軽度もしくは中等度であり、72時間以内にほぼ症状が消失しました。また発熱、悪寒やインフルエンザ様症状は、投与開始から3ケ月の間に最も多く発現しました。
さらに本治験で使用する治験薬T-hIL12では、IL-12が投与局所に産生されます。このIL-12によって起こるかもしれない副作用として発熱、悪心、嘔吐、頭痛などが想定されます。
T-hIL12の製造にウシ由来成分が使われていますので、これらによるアレルギーとして、発熱、皮膚の発赤、蕁麻疹、粘膜の腫れ、血圧低下、息切れ、咳、喘息、呼吸困難、頻脈、アナフィラキシーショックなど生じる可能性があります。
治験の参加期間中でも悪性黒色腫に対して他の治療を受けることはできますか?
本治験の同意取得後からT-hIL12投与終了24週後(観察期間終了)まで悪性黒色腫に対する手術や放射線や薬物療法の併用はできません。ただし、腫瘍の増大や病状の悪化が見られた場合や医学的理由のために必要と判断される場合には、悪性黒色腫に対して他の治療を受けることができます。この場合には治験は中止となります。
治験参加終了後の治療はどうなりますか?
T-hIL12投与終了24週後(観察期間終了)以降の治療に制限はありません。治験に参加する前の主治医の先生などと相談してその時点における最適な治療を選ぶことになります。
この治験に参加した場合の治療費はどうなりますか?
治験薬は無料で提供されますが、その他の医療費には健康保険等の公的な医療保険が適用され、その医療費にかかる一部負担金等を負担していただきます。また、通常診療において健康保険適用外である費用(特別室使用料、入院時食事療養費、文書料、その他)についても、負担していただきます。交通費、宿泊費、謝礼金などのその他の費用の給付はありません。
治験に参加した場合、個人情報等は守られますか?
この治験から得られた結果は医薬品としての承認を得るための申請資料として利用されたり、医学雑誌などに公表される場合がありますが、いずれの場合でもあなたのデータであると特定されることはありません。名前などの個人情報はわからないようにしますので、プライバシーは守られます。
なお、あなたが他院を受診された場合、当院より治験に参加していることを他院の主治医にお知らせすることがあります。また、他院におけるあなたの診療情報をご提供いただくことがあります。
臨床試験の概要

臨床試験の概要

目的
  • 進行期の悪性黒色腫患者を対象として、ヒトIL-12発現型遺伝子組換え単純ヘルペスウイルス1型T-hIL12の安全性を評価する。
  • 進行期の悪性黒色腫患者を対象として、標準治療に上乗せする際の、T-hIL12の安全性及び有効性を検討する。
試験デザイン 対照群のないオープンラベル試験(第Ⅰ/Ⅱ相試験)
対象疾患
  • 標準治療である、免疫チェックポイント阻害薬(抗CTLA-4抗体、抗PD-1抗体)あるいは分子標的薬(BRAF阻害薬の単独療法又はBRAF/MEK阻害薬の併用療法)の治療歴があり、進行により現時点でいずれの標準治療も実施が適切でない、あるいは適応がないと判断される悪性黒色腫患者。
  • 標準治療のニボルマブをファーストラインの全身療法として投与する悪性黒色腫患者。
投与方法

腫瘍内投与。1回あたりのT-hIL12の投与総量は3×108pfuとし、投与間隔は2週間(~4週間まで可)とする。

  • 投与回数は第1コホートでは2回、第2コホートでは4回。
  • 第Ⅰ相で決定した回数(2回又は4回)。
評価項目
  • 安全性の評価、奏効率、全生存期間、無増悪生存期間、腫瘍縮小効果
  • 奏効率、安全性の評価、全生存期間、無増悪生存期間、腫瘍縮小効果
評価期間 最終回投与後24週間
募集予定期間 2019年7月~
被験者数
  • 6名
  • 18名

主な選択基準

選択基準の詳細情報

適格基準

第Ⅰ相

切除不能又は転移性悪性黒色腫患者で、以下の基準をすべて満たす患者

  • 組織学的に診断が確定し、皮膚悪性黒色腫のAJCC(American Joint Committee on Cancer)8版に基づく臨床病期がⅢ又はⅣに相当する。
  • 最長径10mm以上の注入可能な皮膚・皮下の悪性黒色腫病変、又は短軸15mm以上の注入可能な転移リンパ節病変が1つ以上認められる。
  • 標準治療である、免疫チェックポイント阻害薬(抗CTLA-4抗体、抗PD-1抗体)あるいは分子標的薬(BRAF阻害薬の単独療法又はBRAF/MEK阻害薬の併用療法)の治療歴があり、進行により現時点でいずれの標準治療も実施が適切でない、あるいは適応がないと判断される。
  • 理学的所見及び画像検査で全身の転移巣の分布と大きさが把握されている。
  • 同意取得時の年齢が20歳以上(性別は不問)。
  • 前治療が終了してから30日以上が経過している。
  • Eastern Cooperative Oncology GroupのPerformance Statusが0~2。
  • 治験薬投与開始前28日以内の血液検査の結果が以下をすべて満たす。
    骨髄機能:
    白血球数2,000/mm3以上、好中球数1,000/mm3以上、血小板数100,000/mm3以上、ヘモグロビン9.0g/dL以上、プロトロンビン時間の国際標準比(PT-INR)施設基準値の1.3倍以内
    肝機能:
    AST及びALTが施設基準値上限の4倍以下、総ビリルビン2.5mg/dL以下、直接ビリルビン1.5mg/dL以下
    腎機能:
    クレアチニン1.7mg/dL以下

第Ⅱ相

切除不能又は転移性悪性黒色腫患者で、以下の基準をすべて満たす患者

  • 3)標準治療のニボルマブをファーストラインの全身療法として投与する患者(術後のadjuvant therapyとしてダカルバジン、インターフェロン等を投与された患者を含む)。

1)、2)、4)~8)は、第Ⅰ相と同様。

除外基準

たとえ選択基準を満たしても、以下のいずれかに抵触する患者は本試験の対象から除外する。

  • 脳又は中枢神経に転移が認められる患者
  • 予測される生存期間が6ヶ月未満の患者
  • 妊娠中又は授乳中の女性
  • 治験薬投与開始から投与終了後6ヶ月までバリア型避妊を実行する意思がない患者
  • 緊急治療を要する胸水、腹水、心嚢液貯留がある患者
  • 活動性の感染症を合併している患者
  • 無病期間が5年未満の重複癌を有する患者(適切に治療された上皮内癌・皮膚の表皮内癌・基底細胞癌を有する患者は対象としてよい)
  • ヒト免疫不全症ウイルス(HIV)の検査結果が陽性の患者又は過去に検査結果が陽性であった患者
  • 活動性のヘルペスウイルス感染を有する患者
  • アシクロビル、バラシクロビルなどの抗ヘルペスウイルス薬に対するアレルギー反応の既往がある患者
  • プレドニゾロン換算で10mgを超えるステロイド又は免疫抑制薬が投与されている患者
  • 他の治験薬(又は研究的治療)の投与をT-hIL12投与開始前30日(又は他の治験薬等の消失半減期の5倍のいずれか長い期間)以内に受けた患者
  • がん治療用ウイルスの投与を受けた患者
  • その他、治験責任医師又は治験分担医師(担当医師)が不適格と判断した患者
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