信州という地の工学は明日の夢につながっている
今から遡ること約100年前、大空を優雅に飛ぶ鷹を眺めて、「飛べる」と確信した人間がいました。
その時、わずか12秒間、36mの飛行だった大空への夢は、人から人へと受け継がれ、大きくふくらみ、現在では、地球の空には、無数の飛行機が飛び、1万kmの距離を10時間ほどで移動するまでに至っています。翼を持たない人類は、いつしか鳥よりも、速く、遠くまで飛べるようになっているのです。
今、私たちが暮らしている当たり前の日常、それは、人が描いたいつかの夢。夢は技術へと結晶し、今の世界を、形づくっています。
そして、今を生きる私たちは、どんな夢を描くのでしょうか?
そのような問いをベースに、私たち、信州大学工学部は、2016年、従来の7学科から5学科体制という新しい学科展開へと大きな進化を遂げました。
この取組みの背景にあるのは、これからの時代には、これからの夢を描くには、もっと工学を俯瞰する視点が欠かせないという問題意識に他なりません。
細分化され続けてきた学問体系をプロダクト視点ではなくビジョン視点で捉え直すこと。「人」や「社会」において、何を実現していかなければならないかを考え、その発想から技術を構築していくこと。私たちはそのような姿勢を大切にし、学科を超えた横断型プログラムの充実にも注力しています。
文部科学省の革新的イノベーション創出プログラム(COISTREAM)にも選出されたアクアイノベーション拠点や信州で新たに展開されようとしている航空宇宙研究拠点、豊かな緑に囲まれた信州の地域特性をバックボーンに発達した環境・エネルギー材料科学研究など、信州大学工学部の強みを生かしながら、明日に向けて、様々な実験が繰り広げられる「日本、世界の未来LAB.」へと信州大学工学部は歩みを始めているのです。
あなたは、この「未来LAB. 」、信州大学工学部でどのような夢を描きますか?
あなたが描いた夢、それが、きっといつかの未来の人々には当たり前になっていくことを私たちは信じています。
工学部長 香山 瑞恵