10月15日~11月3日にかけて、13回の主LED点灯実験(第37回~49回)を、モールス又はFSK変調で行う予定でしたが、1回はバッテリ電圧が低いために実験中止、3回はリアルタイムコマンドが通らず不点灯になり、結果として9回の点灯実験を行いました。8月の実験に比較して天候は安定してきましたが確実にLED光の確認には至りませんでした。10月28日までは北行パス(南西から北東に向けて移動)で、午後10時台~午後5時台と観測に適した時間帯であり、多くの方が観測に挑戦して下さいました。25日には伊那市創造館で、28日には栄小学校で子供たちと観測会を実施し、初めて地上から「ぎんれい」に向けて強力なLED光を照射しました。これは可視光通信のアップリンクのための予備試験も兼ねたものです。
また28日及び29日の午後6時台のパスでは、夕方の太陽光を反射した「ぎんれい」の写真撮影や目撃報告を多くいただきました。
10月29日からは未明の南行パス(北西から南東に向けて移動)になり、深夜の観測になりました。次回の11月中旬からのLED点灯実験では同じく南行パスですが、午後10時台よりも早い時間帯になるので観測がし易くなります。この期間が「ぎんれい」の最後の実験となりますので是非一度空を見上げてください。

  • 第37回LED点灯実験(10月15日午後10時台のパス)。可視地域は本州中部以北。事前タイマーセット。モールス点灯(約45秒間点灯、その後約5秒間休止のパターンを10回繰り返えしで約8分間実施)。点灯開始は午後10時01分30秒頃。
  • 第38回LED点灯実験(10月16日午後10時台のパス)。可視地域は九州西部。リアルタイムコマンド。モールス点灯。点灯開始は午後10時17分25秒頃のため天頂付近通過後。
  • 第39回LED点灯実験(10月18日午後9時台のパス)。可視地域は中部・関東地方。事前タイマーセット。FSK変調点灯(約20秒間点灯、その後約10秒間休止のパターンを13回繰り返して約6分間実施)。点灯開始は午後9時04分20秒頃。
  • 第40回LED点灯実験(10月19日午後9時台のパス)。可視地域は九州・中国地方。事前たまーセット。FSK変調点灯。点灯開始は午後9時15分40秒頃。
  • 第41回LED点灯実験(10月21日午後8時台のパス)。可視地域は関東太平洋側地域)。事前タイマーセット。FSK変調点灯。点灯開始は午後8時04分40秒頃。
  • 第42回LED点灯実験(10月22日午後8時台のパス)。可視地域は四国・中国地方並びに北海道西部。モールス点灯の予定だったが、バッテリ電圧が十分に回復していなかったため実験は直前で中止しました。観測を予定されていた方にはご迷惑をおかけしました。
  • 第43回LED点灯実験(10月25日午後7時台のパス)。長野県上空を通過するパスで、長野県内、北陸、北海道と広い地域が可視範囲。事前タイマーセット。モールス点灯。点灯開始は午後7時7分頃で、バッテリ電圧低下により午後7時10分頃には自動的に低消費電力モードに移行。残念ながら天空全領域での点灯は行われず、点灯時間はパスの前半から天頂付近までと思われます。
    初めての公開観測会を伊那市創造館敷地内で実施しました。
    信濃毎日新聞に記事が掲載されています(http://www.shinmai.co.jp/news/20141026/KT141025FTI090021000.php)。
    アップリンク用可視光通信の予備実験として、LED投光器を衛星追尾可能な赤道儀(ビクセン製SXP)に搭載し、「ぎんれい」を追尾照射しました。夜空に光るLED投光器の写真を示します。

アップリンク用LED 赤道儀に搭載された投光器

赤道儀に搭載された投光器     

  • 第44回LED点灯実験(10月28日午後5時台のパス)。可視地域は関東地方。当初、長野県内も可視地域に含まれていましたが、近地点高度が300kmを下回っている事から軌道変化が大きく、日本列島から離れた太平洋側を通過するパスになってしまいました。事前タイマーセット。FSK変調点灯。点灯開始は午後5時57分30秒頃。
    午後5時59分30秒頃まで、「ぎんれい」に太陽光が当たり、その反射光が地上から多く目撃されました。東京都鈴木氏撮影の画像を示します。

太陽光を反射した「ぎんれい」の光跡太陽光を反射した「ぎんれい」の光跡
(露出:1/2秒)
(撮影:鈴木裕二郎氏(東京都))

第2回目の公開観測会を栄村立栄小学校(長野県下水内郡栄村)校庭で実施しました。栄村は東日本大震災翌日の平成23年3月12日の早朝、震度6強の地震に見舞われ、多くの被害が出たことは記憶に新しいと思います。「ぎんれい」の愛称募集には現在の6年生が全員で応募し、ぎんれいプロジェクトを進める上で大変励みになりました。今回の観測会はそのお礼の一環として当初から計画していました。また、観測会の前の10月22日には事前学習会を6年生の教室で開き、「ぎんれい」に関する知識を学び、また親睦を深めることができました。
28日の観測会当日はあいにくの曇り空でしたが、25日の伊那市創造館と同様に投光器による「ぎんれい」追跡を行いました。またその時、6年生と先生が考えた下記のメッセージをモールス信号で表現して「ぎんれい」に向けてLED光を送り続けました。
  「みんなのえがおで、ゆめ・みらいへ はばたいて」

「ぎんれい」の歌を披露する栄小6年生観測会後、「ぎんれい」の模型の前で、思いを込めて「ぎんれい」の歌を披露する栄小6年生

  • 第45回LED点灯実験(10月29日午前3時台のパス)。可視地域は中部・関東・東北地方。FSK変調点灯。第44回と同一夜であり、事前タイマーセットができなかったためリアルタイムコマンドで運用しました。点灯開始は午前3時28分頃で天頂通過後でした。
    第44回及び45回のLED点灯実験では、富山市天文台において口径1メートルの望遠鏡に受光装置をセットし、スペクトルアナライザによる受光レベルの測定を実施しました。残念ながら「ぎんれい」からのLED光を受光することができませんでした。
  • 第46回LED点灯実験(10月29日午後6時台のパス)。LED点灯実験で日本列島を縦断するパス(北行パス)としてはこれが最後でした。可視地域は関西と北海道西部。FSK変調点灯。リアルタイムコマンドによる運用を行いましたが電波による通信が通らなかったためLEDは点灯しませんでした。前日の夕方のパス(第44回実験時)と同様に太陽光を反射した「ぎんれい」の写真撮影や目撃が行われました(午後6時06分30秒頃まで) 。
  • 第47回LED点灯実験(10月30日午前3時台のパス)。可視地域は関西から中部地方。FSK変調点灯。今回もリアルタイムコマンドを実行しましたが、電波不通によりLED点灯が行えませんでした。
  • 第48回LED点灯実験(11月2日午前2時台のパス)。可視地域は東北地方。FSK変調点灯。事前タイマーセット。
  • 第49回LED点灯実験(11月3日午前2時台のパス)。可視地域は関西から中部地方。FSK変調点灯。電波による通信が通らなかったためLED点灯が行えませんでした。