機能化学特論Ⅰ
syllabus

科目名 機能化学特論Ⅰ
教員名 浅尾 直樹
単位数 2
開講学期 1年2年 後期

授業のねらいと概要

ねらい
本来分子は様々な機能を有しているが、その中でも情報記録、情報表示などに使用されている一連の化合物を機能性色素と呼んでいる。本講義では、機能性色素とは何で、どのような分野に応用されているかを理解することを目的とする。それらを理解した上で、学生自身が自分が行っている研究との関連を検討し、機能性色素を自分の研究に応用した場合にどのような成果が得られるかを考える能力を身につけられるようにする。
概要
「色素」と言う言葉は、色を出す分子を意味し、従来から使われてきた染めることを意味する「染料」とはイメージを異にする。もともと色を出すこと自体が一種の物理的機能であるが、色そのものとは違った機能を有する色素を「機能性色素」と呼ぶ。現在では、情報記録用色素や情報表示用色素をはじめ、数多くの機能性色素が開発されている。本講義では、色素の構造と物性について説明し、機能性色素がどのような用途で応用されているかを紹介する。また、色素本来の機能である色の変化を応用した機能性分子であるpHインディケーターや色素プローブについて解説する。さらに、繊維の染色へ機能性色素がどのように応用可能かについても講義する。

授業計画

  • 第1回 色素の構造と物性-光吸収理論
  • 第2回 様々な要因による色素構造の変化
  • 第3回 色素の色と化学構造
  • 第4回 機能性色素の概要
  • 第5回 情報記録用色素
  • 第6回 情報表示用色素
  • 第7回 光記録用色素
  • 第8回 pHインディケーター
  • 第9回 さまざま種類のプローブ
  • 第10回 繊維の染色への機能性色素の応用
  • 第11回 学生による色素に関する英語論文発表①(無機化学分野)
  • 第12回 学生による色素に関する英語論文発表②(有機化学分野)
  • 第13回 学生による色素に関する英語論文発表③(高分子化学分野)
  • 第14回 学生による色素に関する英語論文発表④(コロイド化学分野)
  • 第15回 学生による色素に関する英語論文発表⑤(計算化学分野)

成績評価方法

第1回から第9回までの授業において簡単なクイズを出し答えさせる。各学生に機能性色素に関する英語本を読ませ、その和訳を発表させる。また、「機能性色素」に関連した英語論文を探させて読ませ、その内容について要約させて上でパワーポイントを用いて授業時間中に発表させ、質疑応答させる。クイズ(約40%)、和訳(約10%)、発表(約30%)、他の学生に対する質問(約20%)により成績を評価する。

質問、相談への対応

原則としてメールにより対応する。メールアドレスは、khamada@shinshu-u.ac.jp。また、教員室での個別の質問にも対応する。

学生へのメッセージ

染めることを中心に使われてきた色素がさまざまな用途に応用可能であることを学ぶことにより、色素に限らずすべての材料が持つ無限の可能性を理解してほしい。

教科書・参考書

参考書
(1) 大河原信、松岡 賢、平嶋恒亮、北尾悌次郎共著、「機能性色素」、講談社サイエンティフィク、1992
(2) Heinrich Zollinger, "Color Chemistry", VCH, 1987
(3) Peter Bamfield, “Chromic Phenomena”, Royal Society of Chemistry, 2001

備考

 



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