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プログラム概要
頭脳循環を加速する若手研究者戦略的海外派遣プログラムについて
「頭脳循環を加速する若手研究者戦略的海外派遣プログラム」は、独立行政法人日本学術振興会が実施支援する、若手研究者に対する国際的な研究機会の提供を目的とした事業です。本プログラムの実施を通じて、我が国の大学等研究機関が、海外の機関との協力関係の強化を図り、世界水準の国際共同研究に携わる若手研究者を海外へ長期に派遣することで、若手研究者が学術研究の国際水準と多様性を理解し、さらには世界の様々な課題に挑戦する機会を提供することで、国際的な頭脳循環の活性化を促すことを目指しています。
国際共同研究事業概要
「イノベーション創出を加速させる進化型解探索フレームワークのグローバル研究」について
業界・市場では、生産性・効率向上だけではなく、顧客ニーズへの即応性、グローバルな価格競争、省エネルギー等環境問題への対応など様々な要因を考慮しなければならず、一層複雑化の様相を呈しています。近年の「ものづくり」は、複雑化した問題の設定(モデル化)、設計変数やパラメータの導出、評価すべき目的関数の設計、最適化による問題の解法、得られた解(ソリューション)の解析、適切な意思決定を行わなければならず、より高度な技術が求められています。しかし、システムの大規模化に伴い、多数の設計変数・パラメータを含む問題を、複数の目的関数を用いて同時に最適化しなければならず、問題の解法は極めて難しくなっています。このような複雑な問題を解法する新しいアプローチとして、進化計算が注目されています。進化計算は生物の遺伝と進化を模倣した計算アルゴリズムであり、解集団(ソリューションの集合)の進化によって解を導くため、未知の問題にも柔軟に適用することができます。本研究プロジェクトでは、進化計算分野における日仏トップの研究機関が国際共同研究チームを結成し、若手研究者の頭脳循環によって計算科学分野において更なるブレイクスルーをもたらし、様々な実世界応用におけるイノベーション創出に貢献することを目指しています。
研究テーマ・目標
本研究プロジェクトでは以下の3つの研究テーマとそれぞれの到達目標を設定します。

【研究テーマ①】進化型多目的・多数目的最適化
- 効率的かつ頑健に多目的・多数目的最適化問題を解法し、求めるパレート最適解集合(POS)を導出可能なアルゴリズムを設計し、その有効性を検証する。この際、様々な評価尺度で既存手法のPOS探索性能を大幅に凌駕するアルゴリズムを目指す。
- 目的関数の増加(多数目的最適化)に伴い増加する計算コストを効果的に削減する方法を確立する。
- 実応用における様々な制約条件を操作(ハンドリング)する方法を検討する。
- 設計したアルゴリズムの有効性を様々な問題を用いて性能検証する。
【研究テーマ②】進化型アルゴリズムの理論
- 代表的アルゴリズムの最適解への収束性の数学的証明を行い、この知見を基に理論的に収束が証明可能なアルゴリズムを設計し、その有効性を検証する。
- アルゴリズムの収束性に関する数学的証明の知見を、他のアルゴリズムにおいて一般化する。
- 単目的最適化アルゴリズムで得られた知見を、多目的最適化アルゴリズムに拡張する。
【研究テーマ③】目的関数空間のランドスケープ解析とアルゴリズム性能
- 多目的最適化問題における目的関数空間の地形(ランドスケープ)の解析方法を確立する。
- 変数間・目的関数間相関がランドスケープに与える影響を解析する。
- ランドスケープ解析によって得られた問題特徴に基づく解の選択・遺伝的操作方法を設計する。
- 問題特徴とアルゴリズムの性能との相互関係について解明する。
国際共同研究体制

信州大学、電気通信大学、フランス国立情報学自動制御研究所(INRIAサクレー及びINRIAリール)、リール第一大学、リトラル・コート・ド・バール大学を一つの国際研究チームとして束ね、ポスドク研究員、博士課程学生の若手研究者のモビリティによって、各拠点(グループ)の頭脳と知識のシナジー(相乗効果)を実現し、世界最先端の新技術によるイノベーションを組織的かつ集約的に創出することを目指します。