URAのキャリアパス
信州⼤学では、研究開発マネジメント⼈材の専⾨職化と持続的成⻑を⽀援するため、「URAキャリアパス制度」を設けています。
URAキャリアパス対象者は、5年間の任期中に年次評価・中間ヒアリング・最終評価を経て、任期の定めのない教員(テニュアURA)への移⾏が可能です。評価は、Academic Appointment(AA)シートによる業績・貢献度の定量評価を軸に、⾯接審査を組み合わせて、透明で公正なキャリア形成を実現しています。
また、特に顕著な業績を挙げた者については、在職2年以上で中間評価(早期テニュア授与審査)が実施され、通常より早く任期の定めのないURAとして登⽤される場合もあります。URA⼀⼈ひとりの専⾨性と成果を正当に評価し、⼤学運営・研究推進の中核を担う⼈材として成⻑を⽀援する仕組みです。
URAキャリアパス
テニュア授与プロセス(任期の定めのない教員への異動評価プロセス)2023.04.01
Academic
Appointment(AA)
シートによる評価
URAの業績評価は、文部科学省「URAスキル標準」を基に業務分野を構成したAcademic Appointment(AA)シートに基づいて行われます。
各URAが年初に活動内容・評価指標・配分エフォートを設定し、URA室幹部との協議で確定します。年末の面談で達成度を点数化し、その結果が昇給やテニュア授与の判断に用いられます。
信州大学では、URAを特定分野に偏らず、研究戦略から産学官連携、人材育成まで幅広く活躍できる「高度オールラウンダー(ジェネラリスト)」として育成しています。
業務分野/ミッション
URA昇給制度
信州大学URAの昇給は、職階(助教・准教授・教授)ごとに最大3段階のステップを設定し、年次評価・テニュア取得・URAスキル認定などの成果に応じて決定されます。各段階では、在職年数や実績に基づく総合評価のもと、学術研究・産学官連携推進機構長が昇給を判断します。
◎年次評価結果・経験年数・業務実績等に基づき、昇給を決定(各職において2回昇給が可能)◎URAスキル認定を昇給の前提条件とする(認定に係る研修や試験費用の補助制度有)
昇給
前提条件を満たす者を対象に、
学術研究・産学官連携推進機構長が総合的に判断
- 年次評価結果
- 経験年数
- 実務実績 等を考慮
採用・昇進時は段階1から開始(原則)
※特別の事情がある場合は段階2〜3からの開始も可(例外)
昇進
別途、昇進審査により判定
※昇給段階1〜3すべて、昇進審査の対象となりうる
昇給の前提条件
※特定雇用教員は規定上、「昇給」「昇進」の制度がないため、厳密には「(新たな金額での)給与決定」「(新たな職種での)採用」となる。
研究マネジメント人材インタビュー
信州大学副学長、学術研究支援本部長・教授
杉原伸宏
URA統括マネージャー
現在の主要な業務と役割を教えてください
信州⼤学における研究開発マネジメント業務歴は25年を超え、業務範囲も⽐例して拡⼤しています。ただし原点として、この業務に関わり始めた当初は医学系に属していたため、その時から⼤学では、基礎研究から実⽤化(患者さんに届ける)までを総合的にマネジメントする必要性を理解していました。そのため現在でも、URA組織全体のマネジメントをベースに、最も社会・産業寄りの副学⻑(新産業創出、スタートアップ担当)としての業務から、研究基礎基盤の強化を担当する学術研究⽀援本部⻑としての業務までを担っています。
信州⼤学で研究開発マネジメント⼈材として働く前は、どのような経験やバックグラウンドがありましたか?
信州⼤学⼤学院⼯学系研究科で博⼠号を取得した後、ポスドク時代に既に、研究だけではなく、⼤型競争的資⾦の申請書作成や国際シンポジウムの企画運営に主体的に携わりました。2000年に信州⼤学⼤学院医学系研究科に教員として着任した際も、まったくの新設講座であったため、研究や環境整備の資⾦が皆無で、⾃ずと経産省系、⽂科省系、厚労省系の外部資⾦獲得と、採択後のプロジェクトマネジメントに相当なエフォートを割いていました。当時は国⽴⼤学法⼈化の前で、⼤学内に外部資⾦獲得はもとより、契約や知財に関する⽀援部署すらなく、全て⾃分で担う状況でしたため、⾃⾝にこれらの知識やノウハウが蓄積され、⽚や2004年に迫る国⽴⼤学の法⼈化に対しては、このままでは⼤学全体として対応に乗り遅れる危機感を抱いていました。
⼀⽅で、医学系部署の中で、⾃⾝は希な⼯学系の出⾝であったため、⻑野県内に広く蓄積する精密技術を活かした「ものづくり企業」が医療関連機器分野に進出を希望して、信州⼤学医学部や附属病院に相談に来られた際の窓⼝を担っており、医⼯連携⽀援の先駆けとして、⼤多数の新規参⼊企業に共通する課題と解決策を⾃⾝なりに導出していました。
よくあるご質問
研究者、大学院生、大学事務職でもURAを目指せますか?
はい。研究あるいは研究支援に関する経験・スキルを活かして、研究戦略から産学官連携、人材育成まで幅広い業務分野で活躍できます。
URAキャリアパス制度対象かどうか、募集段階でどう分かりますか?
公募要項に「任期中、年次評価及び年次中間評価を行い、着任5年目に任期の定めのないURAへの異動について検討するための最終評価を実施する。...」といった記載がある場合、キャリアパス制度の対象となるポジションです。
URAを目指す者として知っておいた方が良い制度・資格などはありますか?
「一般社団法人リサーチ・アドミニストレーター・スキル認定機構」の認定制度や、業務によっては「知的財産管理技能検定」などの国家資格があります。また、「一般社団法人リサーチ・アドミニストレーション協議会(RA協議会)」の年次大会やセミナーへの参加を通じて、最新のURA業務動向を学ぶことも有効です。
URAになってからは、どのような研修やサポートがありますか?
URAスキル認定制度など外部プログラム参加費の補助や、OJTを通じた実務習得支援があります。
URAキャリアパスの評価はどのように行われますか?
Academic Appointment(AA)シートによる年次評価・中間ヒアリング・最終評価を通じて、業績と貢献度を総合的に判断します。
キャリアアップはどのように行われますか?
成果やスキルに応じて段階的に昇給・昇進が行われ、テニュアURAとして長期的に活躍できます。
育児休業等によるキャリアパスへの影響は?
育児休業取得期間分、最終評価の日程を延期するなど柔軟に対応します。
