信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 電気化学センサーを用いた簡易型皮膚ガス分析装置による運動時の皮膚ガス中アセトン濃度分析の試み

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.37 Vol.37

 要旨

 本研究は,電気化学センサーおよび半導体センサーを用いた簡易型皮膚ガス中アセトン濃度分析装置による運動前後の皮膚ガス中アセトン濃度の分析を試みようとした.標準ガスと装置の標準ガス実測値との間には有意な相関関係(r=0.992,p<0.05)が認められ,各被験の安静値の変動係数が5%未満であったことから分析装置の信頼性が確かめられた.
 健康な男子学生6人(22.2±1.5歳)を対象に,自転車エルゴメーターを用いた最大心拍数(heartrate max; HRmax)の60%の運動を30分間行わせ,運動前の安静,運動中5,10,15,20,30分,運動終了後5,10,20分に利き手の人差し指に取り付けた測定装置の専用プローブも用いて皮膚ガスを採集してアセトン濃度分析を行った.また,心拍数については自転車エルゴメーター付属の心拍モニターにより測定した.
 皮膚ガス中アセトン濃度は,安静値に対して上昇し,運動開始後20(p<0.01),30分(p<0.05)に有意に高い値が認められ,運動終了後には低下して安静値に回復する傾向が見られた.
 以上,本研究で簡易型皮膚ガス中アセトン濃度分析装置の信頼性が確かめられた.また,その装置を用いて60%HRmax,30分間の運動で認められた皮膚ガス中アセトン濃度の有意な上昇は,肝臓での脂肪酸酸化によるケトン体生成増大や血中βヒドロキシ酪酸濃度上昇などを反映している可能性が推察された.

「デサントスポーツ科学」第37巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 伊藤宏*1, 大桑哲男*1, 津田孝雄*2
大学・機関名 *1 名古屋工業大学大学院, *2 名古屋工業大学

キーワード

皮膚ガスケトン体アセトン最大下自転車運動電気化学センサー