運動負荷時の体温調節反応に関する研究
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.1 Vol.1】
緒論
運動負荷時の体温調節反応について,皮層温や発汗量は暖境温とともに変わるが,直腸温は変化せず,さらに発汗量と直腸温は運動強度に関係するが,皮肩温は変わらないといわれてきた13).したがって,運動時の深部体温上昇は,受動的な変化や調節機能の不調によるのではなく,生理的な調節機構が積極的にはたらき,運動時には,安静時と異なる温度に温調節の設定点(set point)がおかれていると考えられるようになった.しかし,運動時の設定点は上昇する14),逆に下降する7,20),いや不変である2,11)という種々の論議がなされている.
近年,運動時の体温上昇は,非温熱性刺激による皮層血管収縮と温熱性刺激による皮膚血管拡張の結果,産熱量が放熱量より大きくなり高体温を誘発するという報告8,12)や,運動負荷による局所的な血流の再配分という観点から,受動的な熱平衡の結果であるという考え方9,19)がある.
いずれにしても,生体に対する運動負荷時の体温調節のメカニズムに関する見解は非常に複雑で,いまだ解明されていない.
著者らは,深部体温である鼓膜温が視床下部温を最もよく反映するというBenzinger 1)の報告をもとに,鼓膜温と他の深部体温である食道温の変化が運動時に異なる反応を示すのかどうか,さらに,これらの変化が皮膚温や発汗応答にどう関係しているかという点に興味をもっている.
本研究は,運動負荷時の体温変化と発汗応答を定量的に関係づけようとするものであり,その結果から,運動時の体温調節機構の手がかりを得る目的で行った.
「デサントスポーツ科学」第1巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
運動負荷時の体温調節反応について,皮層温や発汗量は暖境温とともに変わるが,直腸温は変化せず,さらに発汗量と直腸温は運動強度に関係するが,皮肩温は変わらないといわれてきた13).したがって,運動時の深部体温上昇は,受動的な変化や調節機能の不調によるのではなく,生理的な調節機構が積極的にはたらき,運動時には,安静時と異なる温度に温調節の設定点(set point)がおかれていると考えられるようになった.しかし,運動時の設定点は上昇する14),逆に下降する7,20),いや不変である2,11)という種々の論議がなされている.
近年,運動時の体温上昇は,非温熱性刺激による皮層血管収縮と温熱性刺激による皮膚血管拡張の結果,産熱量が放熱量より大きくなり高体温を誘発するという報告8,12)や,運動負荷による局所的な血流の再配分という観点から,受動的な熱平衡の結果であるという考え方9,19)がある.
いずれにしても,生体に対する運動負荷時の体温調節のメカニズムに関する見解は非常に複雑で,いまだ解明されていない.
著者らは,深部体温である鼓膜温が視床下部温を最もよく反映するというBenzinger 1)の報告をもとに,鼓膜温と他の深部体温である食道温の変化が運動時に異なる反応を示すのかどうか,さらに,これらの変化が皮膚温や発汗応答にどう関係しているかという点に興味をもっている.
本研究は,運動負荷時の体温変化と発汗応答を定量的に関係づけようとするものであり,その結果から,運動時の体温調節機構の手がかりを得る目的で行った.
「デサントスポーツ科学」第1巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 藤島和孝*1, 太田裕造*2, 小室史恵*1 |
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大学・機関名 | *1 九州大学 健康科学センター, *2 太田裕造 |
キーワード