信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF スポーツ活動による運動処方の手引きの作成

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.1 Vol.1

 緒言

 成人の健康づくりを目的とする運動処方の研究は,特に1960年代からさかんに行われ,1970年代には具体的な処方作成が行われるようになった.本センターでも,1970年の設立以来の名種事業の中で,日本人成人の運動処方の作成をテーマにかかげ,「運動処方専門委員会」(委員長:鈴木健次郎)を中心にその研究を推進した4).そして,1976年に,その成果を「体育科学センター方式・健康づくり運動カルテ」3)として公にした.
 しかし,この段階での運動手段は,歩行と走行に限られており,これは,健康を目ざす多数の日本人成人の運動種目の嗜好の個人差,多様性,あるいは環境差,地域差,そして,それによるところの運動種目の選択の自由という観点からは,まだ十分のものとはいい難いものである.すなわち,運動種目の好みという点からいえば,歩行や走行が必ずしも大多数の人たちに歓迎されるものでなく,中には,たとえば,テニス,バドミントンなどのラケット系の球技種目に興味を持つ人たちもあり,また,ランニングを楽しめるコースは自分のまわりにないが,小さな体育館を利用することができるという人たちにとっては,なわとびやバレーボールが容易に参加できる種目ということになる.
 このような現状を考えれば,歩行や走行以外の他の運動種目,スポーツ種目についてもその強度をしらべ,それらの種目への参加が健康づくりに有効であるかどうかを確かめることも,運動処方の作成において大切な課題と考えられる.
 そこで,本センターは,各種の運動種目をとりあげ,その強度を求め,その結果とこれまでに明らかにしてきた研究成果を比較検討することによって,歩・走運動以外の運動種目を用いる処方の作成を目ざそうとした.
 本研究で対象とした運動種目については後述するが,それらの中には,目下多量のデータの整理が進行中のものもあるので,本報では,研究の手順と結果のあらましを述べ,具体的処方内容については,その方向を示すことにした.

「デサントスポーツ科学」第1巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 岩間英太郎*1, 鈴木慎次郎*2, 石河利寛*3, 浅見俊雄*4, 加賀谷凞彦*5, 青木純一郎*3
大学・機関名 *1 財団法人 体育科学センター, *2 国立栄養研究所, *3 順天堂大学, *4 東京大学, *5 埼玉大学

キーワード

運動処方体育科学センター方式・健康づくり運動カルテ