信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 糖尿病の運動療法に関する研究 ―糖及び運動負荷時における糖・脂質の経時的変化―

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.2 Vol.2

 はじめに

 近年,国民の栄養状態は改善されてきたものの,栄養に対する知識は十分ではなく,過食,欠食,偏食というような摂取傾向,加工食品の偏重,さらには,著しい技術革新による機械化,省力化がもたらした運動不足などが誘因となって,心臓病,動脈硬化症,脳卒中,高血圧症,肥満,糖尿病などの成人病が年々増加する傾向にある1).
 糖尿病と運動の関係については,健康人でも,一定期間の安静により耐糖能が低下することが実験的に示されており2,3),糖尿病の素因をもった人に対して,運動不足はその発症因子としての意味をもつものと考えられている.また一方,適当な運動は,インシュリンの分泌増加を伴わずにブドウ糖を処理するなど4~6),糖尿病患者の過血糖処理上効果があると考えられ,糖尿病病態に好影響を与えるのではないかと期待されている.
 このような観点から,従来,糖尿病の治療には,食事療法,薬物療法とならんで,運動療法が重要視されている.しかしながら,運動療法を処方するにあたっては,運動の強度,持続時間,頻度,さらには食事の摂取と運動開始時間との関係など,種々の観点をふまえた総合的な検討がなお必要である.
 そこで,今回は,糖負荷後の運動の強度,持続時間が,また,糖負荷と運動開始時間が,糖.脂質代謝にどのように影響するかについて検討を加え,より望ましい運動療法を処方するうえでの資料とせんとした.

「デサントスポーツ科学」第2巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 本間聖康, 朝井均, 井関敏之
大学・機関名 大阪市立大学

キーワード

成人病糖尿病耐糖能運動療法