信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 幼少時期の足弓窿形成と保育環境に関する研究

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.5 Vol.5

 まとめ

 4,5歳の園児256名を対象に,土ふまずの形成過程をみるためにピドスコープによる写真撮影を行ない,いわゆる“ベタ足”とみられる者32名についてはX線撮影を行なった.さらに,これらの者に5ヶ月間のトレーニングを行なった後の接地足蹴ならびに足弓窿の変化について比較検討した.
 1. 接地足蹴における土ふまずの形成過程をHラインからみると,4歳児で70%(男子66%,女子74%),5歳児で74%(男子70%,女子78%)の者が形成されており,4歳児で15.5%(男子18%,女子13%),5歳児で18%(男子21%,女子15%)の者がいわゆる“ベタ足”とみられる者であった.
 2. 5ヶ月間のトレーニング後における接地足蹴の変化は,足蹴面積,土ふまず面積,土ふまず比とともに平均値で増加がみられたが,それぞれの間で有意差検定を行なったところ,有意差はみられなかった.
 また,足弓窿の形成を,腫骨の傾斜角度A,距骨の傾斜角度Bからみると,トレーニングによる有意な差は認められなかった.
 以上のように,今回のトレーニング実施による接地足蹴,足弓窿形成の変化については,予期したような変化はみられなかったが,その原因として考えられることは,(1)実験群へのトレーニング刺激が弱かった,(2)トレーニングの期間が短かかった,(3)対照児への個別指導を行なわなかった.ことなどがあげられる.
 トレーニング効果をあげるための刺激強度,継続期間,指導方法などの点については,今後更に詳細な資料にもとづいた検討が必要であるため,現在も実験群に対しては,これまでと同様のトレーニングを継続させており,対照群ともども引きつづき追跡記録を行なう計画である.

「デサントスポーツ科学」第5巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 吉澤正尹*1, 根本芳男*2, 三村寛一*2, 山田耕司*2, 飯田順一*3, 伊藤俊彦*4, 森下活二*4, 川谷卓雄*4
大学・機関名 *1 福井大学, *2 大阪教育大学, *3 大阪市教育委員会, *4 YMCA幼稚園

キーワード

アーチ(足弓窿 Planter arch)園児ベタ足接地足蹠