女子陸上長距離選手の持久力トレーニング負荷としての4mM乳酸レベル設定の妥当性
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.9 Vol.9】
要旨
女子陸上長距離選手の持久力トレーニング負荷としてのOBLA(onset of blood lactate accumulation)の妥当性を4名の中長距離走選手と4名の競歩選手で検討した.OBLAはトレッドミル漸増負荷運動テスト中に血中乳酸濃度が4mMとなる時点から求めた.中長距離走選手のOBLAは49.4±1.6ml/kg/分(91.3±1.4%VO₂max),競歩選手のOBLAは44.5±4.0ml/kg/分(86.8±4.5%VO₂max)であった.
このOBLAの時点で乳酸/ピルピン酸比はすでに増加しており,筋中の解糖による乳酸産生が増加していることが示唆された.この関係に中長距離走と競歩の競技特性による差はなかった.このOBLAのスピードで20分間の最大下運動を実施したところ,VO₂は予測値とよく一致したが,血中乳酸濃度は有意に増加していた.
この結果から,長距離走選手のトレーニング負荷としてのOBLAをトレッドミル漸増負荷テストから求める場合には漸増時間を適切に設定することが重要であることが示唆された.また,本研究の方法から求める場合はOBLA負荷の割合(たとえば80%)を検討する必要がある.
「デサントスポーツ科学」第9巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
女子陸上長距離選手の持久力トレーニング負荷としてのOBLA(onset of blood lactate accumulation)の妥当性を4名の中長距離走選手と4名の競歩選手で検討した.OBLAはトレッドミル漸増負荷運動テスト中に血中乳酸濃度が4mMとなる時点から求めた.中長距離走選手のOBLAは49.4±1.6ml/kg/分(91.3±1.4%VO₂max),競歩選手のOBLAは44.5±4.0ml/kg/分(86.8±4.5%VO₂max)であった.
このOBLAの時点で乳酸/ピルピン酸比はすでに増加しており,筋中の解糖による乳酸産生が増加していることが示唆された.この関係に中長距離走と競歩の競技特性による差はなかった.このOBLAのスピードで20分間の最大下運動を実施したところ,VO₂は予測値とよく一致したが,血中乳酸濃度は有意に増加していた.
この結果から,長距離走選手のトレーニング負荷としてのOBLAをトレッドミル漸増負荷テストから求める場合には漸増時間を適切に設定することが重要であることが示唆された.また,本研究の方法から求める場合はOBLA負荷の割合(たとえば80%)を検討する必要がある.
「デサントスポーツ科学」第9巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 吉田敬義*1, 山口敏夫*2, 千田守*3, 市岡正彦*3, 巻口宏平*3 |
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大学・機関名 | *1 大阪大学, *2 東京女子体育大学, *3 東京医科歯科大学 |
キーワード
女子陸上長距離、持久力トレーニング負荷、OBLA(onset of blood lactate accumulation)