信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 車椅子使用者の日常生活の身体活動量

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.11 Vol.11

 車椅子使用者のリハビリテーション医療終了後の定期的な身体運動の意義に関する基礎的資料を求めるために,運動実施群と非運動実施群を対象として,最大有酸素作業能を比較検討した.さらに日常生活,および車椅子バスケットボール練習中の心拍数,車椅子走行距離の測定を行い,以下の知見を得た.
 1)腕クランキングによるPeak Vo₂は,車椅子バスケットボール実施群(41名)が34.20±5.61ml/min/kg,非運動実施群(37名)が23.47±3.05ml/min/kgであった.また両群間には1%水準で有意差が見られた.
 2)各群20名の1日の車椅子走行距離の比較では有意差が見られなかった.しかし,車椅子バスケットボール練習2時間の走行距離は平日の走行距離の約12倍に相当した.また両群ともPeak Vo₂と車椅子走行距離聞には一定の関係が見られなかった.
 3)各群10名の24時間の総心拍数,最高心拍数平均心拍数および変動係数は両群間に有意差は見られなかった.また連続して100拍/分以上の心拍数を示すものは見られなかった.しかし,車椅子バスケットボール練習時の最高心拍数は,138〜185拍/分(平均158拍/分)で70〜90%HRmaxに相当した.
 4)以上のことから,リハビリテーション医療終了後に定期的な運動の機会を車椅子使用者に提供することによって,運動刺激の低下による有酸素作業能の低下を防ぐ必要があり,その方策の1つとしてバスケットボールの採用は好適なものといえよう.

「デサントスポーツ科学」第11巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 指宿忠昭*1, 橋谷俊胤*2, 近藤照彦*3, 征矢英昭*4, 大久保春美*5, 大胡田茂夫*6, 増田和茂*7, 水原由明*8, 中森邦男*9
大学・機関名 *1 群馬大学, *2 神奈川県総合リハビリテーションセンター, *3 群馬県医師会沢渡温泉病院, *4 三重大学, *5 埼玉県障害者リハビリテーションセンター, *6 中伊豆リハビリテーションセンター, *7 玉津リハビリテーションセンター, *8 東京都多摩障害者スポーツセンター, *9 東京都障害者総合スポーツセンター

キーワード

車椅子リハビリテーション医療最大有酸素作業能腕クランキング