信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 筋肉の性質を変えるカルシウムとそのスポーツ科学への応用

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.19 Vol.19

 本研究では,筋細胞内Ca²⁺を制御する筋小胞体(SR)の機能を修飾する因子を探ることを目的とし,ラット後肢懸垂モデルを用い萎縮に伴う骨格筋線維のSRにおけるCa²⁺制御機構について検討した.萎縮に伴いSRへのCa²⁺取り込みが亢進し,SRからの受動的なCa²⁺の漏出が増加した.リアノジンによるSRのCa²⁺取り込みの抑制は,対照筋に比べて萎縮筋のSRでは弱かった.このことは,萎縮に伴いSRにおけるCa²⁺制御機構に機能的な変化が生じたことを示すものと考えられた.神経系と筋収縮系の間における情報伝達を担っているSRの機能が萎縮により修飾を受けることから,神経からの情報あるいは筋の活動レベルは筋細胞内Ca²⁺の動態を介して,筋の特性を大きく変化させることができるかもしれない.

「デサントスポーツ科学」第19巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 山下勝正,吉岡利忠
大学・機関名 聖マリアンナ医科大学

キーワード

骨格筋Ca2+取り込みリアノジン萎縮