信州大学 繊維学部技術データベース

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PDF 局所トレーニングは運動部位の皮下脂肪を減少させるか?−片脚の有酸素性脚自転車トレーニングかトレーニング脚の脂肪断面積および酸素利用能に及ぼす影響−

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.20 Vol.20

 本研究では片脚の有酸素性自転車トレーニングによって,トレーニング脚(TL)の大腿部皮下脂肪が選択的に減少するか否かを確かめた.被検者は女子大学生8名[年齢: 21.4±0.7歳,身長:157.0±5.5cm, 体重:49.4±6.2kg, 体脂肪率:23.2±3.2%, mean±SD]であった.トレーニングは,アイソパワー自転車エルゴメータによる片脚のサイクリング運動であった.トレーニング以外の生活要因による影響を考慮して,非トレーニング脚(NTL)を対照脚とすべく片脚トレーニングとした.トレーニング強度は40%peakVO₂の強度で60分間,週3回,12週間に渡って行われた.トレーニング前後における両脚大腿部横断面の超音波映像を撮影し,脂肪,筋および骨それぞれの横断面積を算出した.なお,撮影部位は,大転子から脛骨転までの距離の50%の位置でほぼ大腿部中央であった.また,トレーニング前後に両脚および左右片脚によるランプ負荷テストを行い,呼吸応答パラメータ(VO₂, VCO₂, VE)と運動継続時間を記録した.
 トレーニング前後における体重と体脂肪率に有意な変化は見られなかった[体重: 49.4±6.2 vs 49.3±5.8,体脂肪率:23.2±3.2 vs 22.7±3.9%, mean±SD].トレーニング前後およびTLとNTLをそれぞれ2要因とした分散分析の結果,片脚ランプ負荷テストにおけるTLの運動継続時間は,NTLより有意に延長した[TL: 1049±122, NTL:930±109, sec. ; p<0.05].片脚トレーニングによって両脚大腿部の脂肪断面積が減る傾向にあったが,トレーニング後のTLとNTLに有意な差はみられなかった[TL: 68.6±17.8, NTL:68.3±18.5cm²].以上のことから,12週間の低強度自転車トレーニングによってトレーニング脚の皮下脂肪が選択的に減少しないことが確かめられた.

「デサントスポーツ科学」第20巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 三浦朗*1,佐藤広徳*2,福場良之*1
大学・機関名 *1 広島女子大学,*2 広島工業大学

キーワード

有酸素性自転車トレーニング片脚トレーニング