信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 木綿一反応染料系の汗日光堅ろう度に関する研究;分光照射法によるアプローチ

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.20 Vol.20

 スポーツ衣料において重要な,木綿に染着した反応染料の汗日光堅ろう度を,分光照射法によって調べ,その退色機構を検討した.すなわち,回折格子照射分光器を用いて染色布に分光照射し,繊維自身および繊維基質中の染料の光分解挙動を酸性およびアルカリ性人工汗液存在下で調べた.光源としてキセノンアークランプを用い,この光を回折格子によって20の波長領域に分光し,未染色布および染色布に照射した.その結果,光退色には非常に強い照射波長依存性があり,木綿−反応染料系では色相および骨格構造の異なる反応染料を用いても,259nmで特異的に一番強く退色し,未染色布も染色布とまったく同一の波長領域で特異的に最も強く黄変することを見出した.すなわち,繊維基質が分解される波長領域で染料の分解も促進されることが分かった.酸性およびアルカリ性汗成分共存下においては,未染色布および染色布ともに退色は顕著に進み,最大の退色波長は259nmであるが,259nmを中心としてその波長領域は広がり,より広い波長領域の光によって退色が起こることが明らかになった.また人工汗液中の成分の光分解におよぼす影響について検討した結果,ヒスチジンのみが汗日光堅ろう度に影響をおよぼすのではなく,汗液中の他の共存成分との相乗効果が大きいことが分かった.

「デサントスポーツ科学」第20巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 高岸徹,八木繁幸
大学・機関名 大阪府立大学

キーワード

木綿反応染料汗日光堅ろう度退色光分解