信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 脊髄損傷者の車椅子テニス実施時における体温調節反応に関する研究

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.22 Vol.22

 本研究の目的は車椅子テニスを実施している脊髄損傷者(脊損者)の体温変動を観察し,脊髄損傷(脊損)レベルと体温変動の関係を明らかにすることである.被験者は頸髄損傷者(C8)1名,胸髄損傷者8名(Th4-Th12),および腰髄損傷者2名(L1, L2)の合計11名であった.測定は6月下旬から7月上旬にかけ,晴天の日を選んで実施した.測定期間中,環境温度は31.7から34.2℃および相対湿度は43から67%の範囲であった.車椅子テニスは準備運動を含めて90分間実施した.運動中,鼓膜温,皮膚温(胸部,上腕部,大腿前面部および下腿前面部),車椅子走行距離,速度および心拍数を記録した.被験者C8は暑さのために準備段階において頭痛を訴えたために,その後の車椅子テニスを断念せざるを得なかった.脊損レベルがTh7,8より上位の脊損者では,脊損レベルがTh11以下の被験者と比較して,鼓膜温および皮膚温とも高い値を示した.Th7,8より高位の脊損者では麻痺部が上半身にもおよぶことから発汗部位が狭く,さらに麻痺部の皮膚血管拡張が起こらないために,鼓膜温および皮膚温の上昇が著しかったものと考えられた.

「デサントスポーツ科学」第22巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 山崎昌廣,深倉弘美
大学・機関名 広島大学

キーワード

車椅子テニス脊髄損傷体温変動