信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 運動による糖代謝活性化の分子機構に基づいた新しい運動プログラムの開発

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.22 Vol.22

 近年,5'AMP-activated protein kinase(AMPK)が運動による骨格筋の糖代謝活性化にかかわるシグナル伝達分子であることが示唆されている.本研究では,運動がヒト骨格筋のAMPK活性に与える影響をAMPKのアイソフォーム別(α1・α2)に検討した.7名の健常人に対して70%VO₂maxの強度で60分間の自転車運動を行い,安静時,運動開始20分後,60分後,運動終了30分安静後に外側広筋の針生検を行った.安静時に比して運動開始20分後と60分後でAMPKα2活性が顕著に亢進するとともに,運動終了30分後も高値を維持した.AMPKα1活性は安静時と変化がなかった.同じ被験者において50%VO₂maxの強度で20分間運動を行ったがAMPKα2,α1ともに活性の変化を認めなかった.以上より,AMPKα2がヒト骨格筋の運動時の糖代謝促進に関与すること,そして,AMPKα2を有効に活性化するためには50%VO₂maxを超える運動強度が必要であることが示唆された.今後,糖代謝改善のための運動処方として効率よくAMPKα2を活性化させる運動方法を明らかにすることが重要と考えられた.

「デサントスポーツ科学」第22巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 林達也,中野雅子,米光新
大学・機関名 京都大学大学院

キーワード

糖代謝活性化AMPK活性アイソフォーム