信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 筋力発揮回復に及ぼす近赤外線照射の効果

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.23 Vol.23

 本研究では,持続的把握作業直後の直線偏光処理近赤外線(PL)照射が筋力発揮値の回復,および生理学的応答に及ぼす影響を検討することを目的とした.18名の健常な学生がPL照射条件,非照射条件の各条件にそれぞれ参加した.被験者は,3分間の持続性把握作業(W1とW2)を休息期間前後に行った.被験者は,W1終了後には筋疲労状態であった.その後,16分間の休息をとり,照射条件は浅指屈筋の周辺に10分間のPL照射を行った.休憩後,再度持続性把握作業(W2)を3分間行った.血中乳酸と主観的筋疲労感覚はW1前,および休息前後に測定した.休息前後の筋力発揮値,および主観的筋疲労感覚の回復率において,照射条件間で有意差は認められなかった.PL照射の効果は,3分間の持続性把握作業後の筋力発揮値の回復に反映するほど大きくないと考えられる.しかしながら,血中乳酸濃度,照射中の筋酸素動態に及ぼすPL照射の影響が認められた.PL照射が筋血流量の増大に貢献し,血中乳酸の除去を促進していると推測された.また,総Hb量とOxy-Hb量に及ぼすPL照射の影響は,照射期間の後半に認められる傾向にあった.照射時間の延長により,筋疲労回復に対するPL照射の影響が顕著になる可能性が示唆された.今後,照射時間を長くし,より高い筋疲労の回復に及ぼすPL照射の影響を検討する必要があろう.

「デサントスポーツ科学」第23巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 出村慎一*1,山次俊介*2,小林秀紹*2,長澤吉則*3
大学・機関名 *1 金沢大学,*2 福井工業高等専門学校,*3 秋田県立大学

キーワード

持続的把握作業偏光処理近赤外線生理学的応答浅指屈筋血中乳酸