信州大学 繊維学部技術データベース

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PDF 高齢者の大脳皮質活動水準-集中維持機能(TAF)の変容と運動の影響-一般高齢者と長期運動実施者との比較-

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.24 Vol.24

 本研究は高齢者における運動継続が大脳皮質活動水準-集中維持機能,気分,生体酸化ストレスおよび自律神経活動におよぼす影響について検討することを目的とした.被検者は長期運動群:21名,66.0±4.0歳,健康運動教室参加の運動群:12名,68.6±5.4歳と長年運動をおこなっていない一般高齢群:13名,70.3±5.6歳であった.検査項目は集中維持機能(TAF)の測定,採尿により生体ストレス反応指標としての8-OHdG,アクロレイン,自律神経活動の指標であるアドレナリン,ノルアドレナリン,ドーパミン濃度の検査,および気分(POMS)検査について実施した.集中維持機能(TAF-L)は長期運動群,運動群ともに一般高齢群より有意(p<0.0001)に高く,また,精神集中の動揺度(TAF-D)も有意に小さい値であった.気分の総合点(TMD)や情緒の「混乱」の項目も長期運動群,運動群は一般高齢群よりも明らかに低く,自己制御能に優れていることを示した.しかし,生体酸化ストレスや自律神経活動の各指標は3群間で差はなく,集中維持機能との関連も観察されなかった.結論として,高齢者における運動の継続は,大脳皮質活動水準-集中維持能力を高め,気分を安定させることが示唆された.

「デサントスポーツ科学」第24巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 芳賀脩光*1,大野秀樹*2,勝村俊仁*3,武政徹*1,高桑栄松*4
大学・機関名 *1 筑波大学,*2 杏林大学,*3 東京医科大学,*4 北海道大学

キーワード

高齢者運動継続集中維持機能(TAF)集中維持機能(TAF)大脳皮質活動水準