信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 脊髄損傷者にとっての効果的な運動時身体冷却法に関する研究

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.24 Vol.24

 本研究の目的は,暑熱環境下での運動中水分摂取および冷却ジャケット着用が脊髄損傷者の体温調節反応におよぼす影響を明らかにすることであった.被験者は脊髄損傷者男子6名で(L1〜Th6),気温約33℃(相対湿度約80%)の部屋で20ワットの負荷で腕回転運動を30分間行った.実験は飲水なし(ND),飲水(D)および飲水と冷却ジャケット着用(DJ)の3条件であった.運動中,鼓膜温,皮膚温および心拍数を経時的に記録した.どの条件においても鼓膜温は上昇したが,DJ条件での上昇が最も小さく,運動終了時にはNDとDJ条件間で有意差が認められた(p<0.05).上腕部および大腿部の皮膚温もDJ条件が低く,上腕部ではNDとDJ条件間に有意差が認められた(p<0.05).全発汗量はDJ条件(190g)の方がNDおよびD条件(300g)より有意に低い値であった(p<0.05).本結果から,飲水に加え冷却ジャケットを着用すると身体の許容蓄熱量に余裕ができ,運動中の体温上昇が抑制されることが明らかとなった.さらに,全発汗量はDJ条件で有意に低い値であったにもかかわらず,鼓膜温の上昇は抑えられた.このことはDJ条件では発汗効率が高かったことを示唆するものである.

「デサントスポーツ科学」第24巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 山崎昌廣,長谷川博,高取直志,金奎兌
大学・機関名 広島大学

キーワード

水分摂取冷却ジャケット脊髄損傷者体温調節反応腕回転運動