信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 筋温上昇による熱ショックタンパク質発現と筋損傷・筋肉痛の予防効果

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.24 Vol.24

 あらかじめ筋温を上昇させておいた筋では,伸張性筋活動に伴う筋損傷・筋肉痛が抑制され,回復も早まるという仮説を検討することを目的とした.被験者(n=11)は上腕屈筋群が最大筋力発揮下で肘関節屈曲位から伸展位に15秒に1回,24回繰り返し強制的に引き伸ばされる伸張性筋運動を2〜4週間の間隔をおいて,右腕,左腕それぞれで行った.一方の腕では,運動実施1日前に,上腕屈筋群に極超短波を20分間照射し,筋温を41度程度まで上昇させた(T条件).他方の腕では筋温上昇を行わずに運動を実施した(C条件).運動に伴う,等尺性最大筋力(筋力),肘関節可動域(ROM),筋肉痛などの運動前から運動直後ならびに1〜4日後の変化を,二元分散分析を用いて両条件間で比較した.運動直後の筋力低下率はC条件に比べT条件で有意に小さく,回復もT条件で有意に早かった.ROMの減少もT条件で有意に小さく,筋肉痛の程度もT条件で有意に低かった.筋温上昇によって熱ショックタンパク質が発現し,伸張性筋活動の損傷刺激を減弱させた可能性が考えられる.

「デサントスポーツ科学」第24巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 野坂和則
大学・機関名 横浜市立大学

キーワード

筋温筋損傷筋肉痛伸張性筋運動極超短波熱ショックタンパク質