信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 陸上長距離選手の鉄剤摂取が生体に及ぼす影響について

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.25 Vol.25

 イオン交換カラムを使用したヒト血清アルブミン(HSA)の高速液体クロマトグラフィ(HPLC)分析では3つの成分を示す.1番目はメルカプトアルブミン[HMA],2番目はSH基がシスチンや酸化型グルタチオンと結合したノンメルカプトアルブミン[HNA(Cys)&HNA(Glut)],3番目はSH基がさらにそれ以上酸化されたノンメルカプトアルブミン[HNA(Oxi)]である.
 本研究は大学生陸上長距離選手(n=8; 19.8±0.4歳)を対象に鉄剤の摂取が酸化ストレスに及ぼす影響をヒト血清アルブミン(HSA)の酸化・還元状態から検討することを目的とした.学生を鉄剤を摂取する群(以下,摂取群)としない群(以下,非摂取群)の2群に分け,3日間の強化合宿前後に採血を行い,HPLC分析を行った.摂取群の鉄剤摂取量は39mg/日とした.還元型アルブミンの割合の平均値(f ̅[HMA])は全体では合宿前78.9±0.5%,合宿後68.0±1.2%で合宿後有意に減少した(p<0.005).群別では摂取群が合宿前78.6±0.7%,合宿後69.2±1.4%,非摂取群が合宿前78.5±1.0%,合宿後69.0±1.5%であった.合宿後両群ともに減少したが,両群間に有意な差はみられなかった.
 これらのことから今回の鉄剤摂取量では,鉄剤摂取が酸化ストレスレベルにとくに影響を与えないことが示唆された.

「デサントスポーツ科学」第25巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 今井一*1,熊谷佳代*1,有川一*1,香田郡秀*2
大学・機関名 *1 岐阜大学,*2 筑波大学

キーワード

ヒト血清アルブミン(HAS)陸上長距離選手鉄剤の摂取酸化ストレス