信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 襟元開口部の違いが上肢圧迫時の代償性体温調節反応に及ぼす影響

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.25 Vol.25

 本研究は襟元2cm開口による希釈換気の影響と手首80mmHg圧迫が体温調節反応に如何に影響するか解明することを目的とした.所定の実験用衣服(100%ポリエステル)を着用した健康な女性7名を室温23.0℃,湿度50%環境で,心拍数120bpm強度の自転車運動を30分間負荷した.圧迫条件では前腕と手指の皮膚温が有意に低い値を示した.また直腸温に対する皮膚血流量増加感度は手指では圧迫条件の方が抑制されたが,胸部では高くなった.さらに胸部発汗量増加感度も圧迫条件の方が高くなった.開口条件では,胸部と上腕部の皮膚温が有意に低下した.直腸温に対する手指部と胸部の皮膚血流量,および胸部発汗量それぞれの増加感度は,いずれも開口条件で大きく,閾値直腸温は低くなった.
 襟元2cm開口の影響は,温熱的に発汗のない,または少ない時期に胸部と上腕部の皮膚温に表れることが判明した.手首80mmHg圧迫による上肢末梢への血流量減少に伴う体温調節系への影響は,胸部皮膚血流量と発汗量の亢進により代償されることが示唆された.

「デサントスポーツ科学」第25巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 吉田美奈子,平田耕造
大学・機関名 神戸女子大学

キーワード

襟元開口手首圧迫皮膚血流量