信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 中高年者の循環器系自律神経調節に及ぼす入浴および運動後入浴の影響

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.25 Vol.25

 本研究は,安静後および運動後の40℃入浴(20分間)における中高年者(平均55歳)の循環器系自律神経調節の特徴について,若年者(平均22歳)との比較から明らかにした.入浴によって中高年者の心拍数は若年者群と同様に上昇する傾向にあり,入浴中期の心臓迷走神経活動(logHF)と圧受容器反射感受性(logSBRS)の有意な低下と対応していた.収縮期血圧においては,安静後入浴直後に中高年者で一過性の上昇がみられ,入浴の後半には両年齢群とも有意に低下し,拡張期血圧も同様に低下した.また,運動後入浴の出浴時においては中高年者群に有意な血圧低下が認められた.両年齢群で一回拍出量と心拍出量の有意な増加と全末梢血管抵抗の有意な減少が両入浴条件でみられたが,中高年者は若年者に比べて全末梢血管抵抗が大きく,頸動脈血管径の拡張性(収縮期血管径−拡張期血管径)が低いという特徴がみられた.これらのことから,入浴は圧受容器反射感受性を減弱させ,とくに中高年者の入浴時の血圧変動に対する調節に大きな影響を与えると考えられた.また,運動後入浴は,より大きく圧受容器反射感受性を低下させ,出浴時の血圧調節にも影響することが示唆された.

「デサントスポーツ科学」第25巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 松井健*1,宮地元彦*2,Linda Massako Ueno*3,小野寺昇*2
大学・機関名 *1 吉備国際大学,*2 川崎医療福祉大学,*3 京都大学大学院

キーワード

運動後入浴中高年者循環器系自律神経調節