信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 運動介入が青年女性正常体重肥満者(隠れ肥満者)の血中脂質,糖代謝,アディポサイトカイン,および心臓自律神経活動機能に及ぼす影響

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.25 Vol.25

 われわれはbody mass index(BMI)が25kg/m2未満でありながらも体脂肪率(二重エネルギーX線吸収法: DXA法)の30%以上を示す,いわゆる“隠れ肥満”の青年女性(22.3±2.5yrs:mean±SD)を対象に12週間の運動介入を実施し,以下の結果を得た.
 運動は心拍数と収縮期血圧より求められる二重積変曲点(DPBP)の強度とし,1回30分以上,週3回以上実施するよう指示した.運動介入前と比較し,介入6週目でBMI,体脂肪量,血糖値の減少が認められ,介入12週目には体脂肪率の減少が認められた.しかしながら,BMIおよび体脂肪量の6週目から12週目の減少は統計上有意ではなく,血糖値は6週目から12週目で有意に上昇し,介入前の値と差が無くなった.また,心臓自律神経活動機能(CAF)は高周波成分の変化と体脂肪量の変化が負の相関を示した.すなわち,運動によりCAFが改善することが体脂肪率の減少に関係することが示唆された.
 本研究の運動は徐脂肪体重の減少を伴うことなく,体脂肪率の減少を示したことから一応の効果を上げたと判断できる.しかし,7週目以降の運動の実施が少なくなるなど,運動プログラムには改善の余地があることも示唆された.

「デサントスポーツ科学」第25巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 石井好二郎*1,佐久間一郎*1,小林範子*1,田中宏暁*2,森谷敏夫*2
大学・機関名 *1 北海道大学,*2 福岡大学,*3 京都大学

キーワード

body mass index(BMI)体脂肪率隠れ肥満運動介入二重積変曲点(DPBP)心臓自律神経活動機能(CAF)