信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 運動時の温熱ストレスを軽減するための冷却部位に関する基礎的研究

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.25 Vol.25

 本研究は運動時の温熱ストレス軽減のための最適な冷却部位について検討するため,チューブ水循環スーツ(以下PTLS)を用いて身体の各部位を冷却した時の暑熱下(30℃)運動時における体温調節反応を評価した.男性7名の被験者は手・足・顔以外全身を覆うPTLSの上に汗の蒸発を防ぐレインコートを着用し,軽度負荷(250W/m²)による20分間の自転車漕ぎ運動を3回実施した.食道温(Tes),大腿部深部温(Tcore),平均皮膚温(T ̅sk),心拍数(HR),皮膚血流(SkBF),温冷感(TS),脱水量(DEH)は身体各部位を冷却した6条件;1)全身(WHO),2)上半身(UP),3)下半身(LOW),4)下腿を除く下半身(THI),5)頭部・頚部(HN),6)冷却なし(NO)について測定した.なお水の循環温度は20℃とした.運動時によるTes, Tcore, HRはNOとHNが他の条件に比較して有意(p<0.01)に高く,SkBFとDEHはWHOが有意(p<0.01)に低かった.しかし,WHO, UP, THI, LOWのTesは同様の傾向を示し,UPのTcoreはWHO, THI, LOWよりも有意(p<0.01)に高かった.またT ̅skとTSを安静時と比較すると,運動時においてNOとHNは有意(p<0.01)に上昇し,WHOとUPでは有意(p<0.01)に低下したが,THIとLOWには顕著な変動が見られなかった.以上の結果から,上半身冷却は運動時のTes, T ̅sk, TSを全身冷却と同様に低下させて,Tcoreを高く維持できることが示唆された.

「デサントスポーツ科学」第25巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 *1 芳田哲也,*2 中井誠一,*3 新矢博美,*4 高橋浩二
大学・機関名 *1 京都工芸繊維大学,*2 京都女子大学,*3 京都エル技研

キーワード

運動温熱ストレスチューブ水循環スーツ体温調節反応脱水量