信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 減量を目的とした食事制限および運動種目の違いが血液流動性に及ぼす影響

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.25 Vol.25

 本研究では,減量を目的とした食事制限および運動種目の違いが血液流動性に及ぼす影響について検討した.対象者は,中年肥満女性80名であり,そのうち31名(46.7±9.9歳)は食事制限のみによる減量プログラムを受けた群(D群),25名(46.8±9.0歳)は食事制限にウォーキングを併用した群(DW群),14名(45.0±4.1歳)は食事制限にレジスタンストレーニングを併用した群(DR群),10名(54.9±9.0歳)は食事制限に水中運動を併用した群(DA群)であった.血液流動性は,人工的な毛細血管モデル(流路幅7μm,流路深4.5μm,流路長30μmの微細な溝が8736本配置されたフィルタ)に,全血100μlが流れきるまでの時間(血液通過時間)を測定することで求めた.血液通過時間は,各群とも減量処方前に比べ処方後において有意に短縮した(D群:-4.4±8.6秒,DW群:-7.4±5.0秒,DR群:-7.2±10.7秒,DA群:-7.5±5.9秒)が,有意な群間差は認められなかった.このことから,運動種目によって血液流動性の改善は認められず,食事制限による減量のほうが,血液通過時間に与える影響は大きいということが示唆された.しかしながら,運動による血液流動性の効果も否定できない.運動を併用した群では,処方後の血液通過時間の測定において,白血球や血小板による毛細血管モデルの流路閉塞がほとんど見られなくなったことや,運動を併用した群をひとつの運動群とし,D群と血液通過時間について比較すると,運動群のほうが有意(P=0.05)に短縮していた.積極的に運動を実践することで,血液流動性が改善する可能性も示唆された.

「デサントスポーツ科学」第25巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 片山靖富*1,中垣内真樹*2,岡崎和伸*3,山吹啓介*4,田中喜代次*5
大学・機関名 *1 筑波大学,*2 長崎大学,*3 信州大学,*4 東取手病院,*5 筑波大学

キーワード

減量食事制限運動血液流動性肥満女性