信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 低酸素環境を利用したトレーニングが運動効率およびヘモグロビン酸素親和性に及ぼす影響

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.27 Vol.27

 自転車競技選手を対象に5日間の常圧低酸素環境への間欠的滞在が運動効率およびヘモグロビン酸素親和性に及ぼす影響について検討した.
 12名の選手は高度2,500m(15.4%O₂)にシミュレートした低酸素室に主として睡眠のために1日10-12時間ずつ5日間にわたって滞在し,トレーニングは平地で行う低酸素(Hypoxia; H)群とコントロール(Normoxia; N)群とに等分した.実験期間前後で血液性状および50%および80%VO₂max強度での最大下一定負荷運動テストを実施した.
 H群は酸素運搬を担うRBCやHb等の改善は認められなかったが,ODCの右方シフトおよびP₅₀値の有意な増加が認められた.最大下一定負荷運動においては低酸素滞在後にVE,VO₂,HRおよびLaが有意に低下することが認められた.
 以上の結果から,短期間の間欠的常圧低酸素環境への滞在はODCを右方シフトし末梢組織での酸素利用能を高め,また,最大下運動時のVO₂を減少させることから,運動効率を改善する可能性が示唆された.

「デサントスポーツ科学」第27巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 内丸仁*1,田畑昭秀*2,内藤久士*3,形本静夫*3
大学・機関名 *1 東北大学,*2 日本競輪学校,*3 順天堂大学

キーワード

自転車競技常圧低酸素環境への間欠的滞在運動効率ヘモグロビン酸素親和性運動効率