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PDF ヒト運動時の腹部内臓血流応答

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.28 Vol.28

 運動時に腹部内臓領域へどのように血流が配分されているのかについては不明な点が多い.そこで本研究では,動的な運動開始時の内臓血流応答の地域性について検討することを目的とした.被検者は健康な一般成人女性8名(21-30歳)で,安静3分の後,負荷40Wの自転車エルゴメータ運動を半仰臥位で4分間行った.プロトコールを通して,超音波ドップラー法による右腎動脈(RA),上腸間膜動脈(SMA)および脾動脈(SA)の血流速度(BV)と,心拍数(HR)ならびに平均動脈血圧(MAP)を連続的に測定した.血管抵抗を示す指標として,MAPをBVで除した指数(RI)を算出した.運動時のMAP,HRは安静時と比較して共に有意な増加を示した.RAおよびSAにおけるBVは,運動が開始すると直ちに安静時の値から有意に低下し,それらのRIは運動開始30秒後から有意な増加を示した.一方,SMAにおけるBVおよびRI共に,運動による有意な変化を認めなかった.これらの結果より,低強度の動的運動時,ヒト腹部内臓血流は支配される器官・組織が異なる各動脈血管によって,その応答に差異(地域性)のあることが示唆された.

「デサントスポーツ科学」第28巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 福場良之,山岡(遠藤)雅子
大学・機関名 県立広島大学

キーワード

運動腹部内臓血流応答