競走馬調教軽労化のための騎手用筋力補助装置の開発

　調教騎手の腰椎，脚部の傷病を防止することを目指して，競走馬調教時に調教騎手の腰，膝の負担を軽減する筋力補助装置スマートスーツおよびその制御法を開発した．スマートスーツは，弾性材が発する弾性力を補助力として用い，かつ弾性材の伸長量を小型モータで制御することで適切な補助力を得るセミアクティブアシスト方式の柔軟な増力装置である．騎手の周期的な動作に適した補助力を与えるために，周期入力制御に基づいた補助力制御を開発した．また，騎乗動作の安定性を高めるために，騎手の重心をZMP（動的安定点）上に制御する補助力制御を開発した．これらを開発した脚部補助用スマートスーツに搭載したところ，大腿部筋肉で約40〜50%の負担軽減効果があることを実験的に確認した．また，手動で補助力を調整可能なスマートスーツライトを開発し，実際の調教師に着用してもらい実証実験を行ったところ，背筋で15%，大腿四頭筋で58%，ハムストリングで10%の負担軽減効果があることを確認した．

「デサントスポーツ科学」第30巻/公益財団法人石本記念デサントスポーツ科学振興財団

研究者名	田中孝之1，齊藤宗信2，鈴木善人3，坂本直久4
大学・機関名	1 北海道大学，2 阿波屋庄兵衛，3 リープス，4 モリタホールティングス

キーワード

調教騎手、筋力補助装置、スマートスーツ、セミアクティブアシスト方式、周期的な動作、動的安定点

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