信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 超音波粘弾性計測装置を用いた筋力評価の有効性の検討

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.30 Vol.30

 超音波粘弾性計測装置(EMIUS)は筋および皮下脂肪のそれぞれの厚さと硬さを区別して計測できる.本研究はそのEMIUSによって得られる筋の厚さと硬度の組み合わせにより,筋力が推測できるかを検討した.18から39歳の男性59名および女性25名を対象とした.EMIUSを用いて右大腿前部の筋(大腿直筋および中間広筋)の厚みおよび硬さの指標となる変位量(10Nの押圧に対する変化),ならびに右膝関節伸展の最大等尺性筋力を計測した.筋の変位量は筋の厚みの影響を受けるために補正を行い,筋硬度指数を作成した.当指数が大きいほど筋が硬いことになる.男女を含めて分析した結果,筋厚(r=0.605,p<0.01)および筋硬度指数(r=0.333,p<0.01)とも有意な正の相関関係が認められた.筋厚,筋硬度指数および性の3変数による筋力を推測する式を重回帰分析によって作成した.その重相関係数はr=0.833(p<0.01)と高い推測能力を示した.しかしながら,男女に分けて同様の分析を行った場合,女性においては筋厚に筋硬度指数を組み合わせることにより推測能力が上昇したが,男性ではそのような効果は認められなかった.以上のことより,EMIUSによって得られる筋硬度指数は特に女子において膝関節伸展筋力の予測に有用であることが示された.

「デサントスポーツ科学」第30巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 村木里志*1,福田修*2,福元清剛*3
大学・機関名 九州大学大学院*1,産業技術総合研究所生産計測技術研究センター*2

キーワード

超音波粘弾性計測装置筋力筋厚筋硬度指数