信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 固有感覚系フィードバック情報による歩行バランス向上効果の検証〜神経生理学的観点による転倒予防を目指して〜

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.32 Vol.32

 本研究はトレッドミル上での歩行における固有感覚系・触覚系からの重心動揺フィードバック情報が,身体バランス制御の機能向上に貢献するか否かを検討した.若年者13名,高齢者22名を被験者とし,手指先の固定点への微小な力(2N以下)での接触(ライトタッチ:LT条件)が,歩行バランスに及ぼす効果を検証した.さらに,自由に固定点に力を加えることのできるフォースタッチ(FT)条件との比較も行った.その結果,若年者群ではLT条件にて左右方向の身体重心動揺が有意に減少した(p<0.05).さらに,LT条件はFT条件よりも重心動揺の減少が有意に大きかった(p<0.05).高齢者群においても同様にLT条件において有意に身体重心動揺が減少した(p<0.05).また,身体重心加速度と指先接触力の2階微分の時系列変化に時空間的関連性が認められた.以上の結果より,上肢の固有感覚及び指先触覚による重心動揺フィードバック情報によって,歩行バランスが安定することが明らかとなった.

「デサントスポーツ科学」第32巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 木村哲也*1,神﨑素樹*2
大学・機関名 *1 立命館大学,*2 京都大学大学院

キーワード

身体バランス制御ライトタッチフォースタッチ身体重心動揺高齢者