信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 激しい運動はビタミンD の消費を促進するか? - アスリートのビタミンD 補給の必要性 -

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.40 Vol.40

 要旨

強度の高い運動は,副甲状腺ホルモン( PTH)の循環レベルを増加させる.PTH は25 水酸化ビタミンD[25(OH)D]を活性型ビタミンD[1α,25(OH)2D3]へ変換する作用を有する.そのため,25(OH)D は,運動によるPTH の増加により1α, 25(OH)2D3 への変換が促進されることで血中レベルが低下する可能性が考えられる.本研究では,異なる運動量に伴うPTH の増加量の違いが25(OH)D 濃度及び骨量に与える影響を検討した.7週齢のC57/BL6j雌マウスを安静群( CON),1 日 1 回運動群( EX-1),1 日 3 回運動群(EX-3)の3 群(各群n = 5)に分けた.運動群は速度12m/min,傾斜 5 度,30 分間のトレッドミル運動を週5 日,計4 週間実施した.4 週間の運動終了後,血清PTH 濃度はCON と比較してEX-3 で有意に増加した( p < 0.05).血清 2(5 OH)D 濃度は検出できなかったマウスがEX-3 で50%認められた.筋湿重量と骨密度( BMD) は,CONおよびEX-1と比較して,EX-3 で有意な増加が認められた.以上のことから,運動量の増加は,筋量や骨量を増加に有効であるが,PTH の増加に伴い25(OH)D濃度を低下させる可能性が考えられた.従って,激しい運動トレーニングを行うアスリートは,ビタミンD が豊富な食品等を積極的に摂る必要があるだろう.

 「デサントスポーツ科学」 第40巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 池戸葵
大学・機関名 愛媛大学

キーワード

疲労骨折25水酸化ビタミンD副甲状腺ホルモン骨密度持久性運動