低酸素トレーニングモデルマウスにおける赤血球増多がもたらす危険性とそのリスク回避についての検証
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.39 Vol.39】
要旨
効率よく持久力を高める方法として知られる低酸素トレーニングは,世界的に広く普及している一方で,ヘマトクリット値が過度に上昇することによるリスクも伴う.本研究では,常酸素環境下で赤血球増多を誘導できる低酸素モデルマウスを用いて,赤血球増多が血圧および血流にもたらす影響と,一酸化窒素合成酵素(NOS)阻害が血圧調節に及ぼす影響を明らかにすることを目的に検証を行った.ヘマトクリット値上昇が観察された低酸素モデルマウスでは,後肢の血流速度が低下していることが示された.また,低酸素モデルマウスのベースラインの収縮期血圧はコントロールマウスと同程度であった.その一方で,低濃度のNOS阻害剤を投与した場合,コントロールマウスでは血圧上昇が観察されたのに対し,低酸素モデルマウスでは血圧上昇が起こらずNOS阻害の影響を受けにくいことが示された.今後は,濃度依存的にNOS阻害が血圧に及ぼす影響を明らかにするとともに,低酸素モデルマウスでNO以外の降圧作用が起きている可能性を明らかにしていく必要がある.
「デサントスポーツ科学」第39巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
効率よく持久力を高める方法として知られる低酸素トレーニングは,世界的に広く普及している一方で,ヘマトクリット値が過度に上昇することによるリスクも伴う.本研究では,常酸素環境下で赤血球増多を誘導できる低酸素モデルマウスを用いて,赤血球増多が血圧および血流にもたらす影響と,一酸化窒素合成酵素(NOS)阻害が血圧調節に及ぼす影響を明らかにすることを目的に検証を行った.ヘマトクリット値上昇が観察された低酸素モデルマウスでは,後肢の血流速度が低下していることが示された.また,低酸素モデルマウスのベースラインの収縮期血圧はコントロールマウスと同程度であった.その一方で,低濃度のNOS阻害剤を投与した場合,コントロールマウスでは血圧上昇が観察されたのに対し,低酸素モデルマウスでは血圧上昇が起こらずNOS阻害の影響を受けにくいことが示された.今後は,濃度依存的にNOS阻害が血圧に及ぼす影響を明らかにするとともに,低酸素モデルマウスでNO以外の降圧作用が起きている可能性を明らかにしていく必要がある.
「デサントスポーツ科学」第39巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 布宮亜樹 |
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大学・機関名 | 東北大学 |
キーワード