信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 食品成分によって抗疲労性筋線維を増やせるか

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.39 Vol.39

 要旨

 骨格筋の疲労耐性に関わる抗疲労性筋線維(遅筋型筋線維)の形成を食品成分によって亢進できるかどうか調べた.筋幹細胞である衛星細胞の初代培養系に食事性ポリフェノールであるクロロゲン酸を添加すると(終濃度10ng/ml),抗疲労性筋線維の形成を誘導する新奇シグナル軸(Sema3Aリガンド→細胞膜受容体neuropilin2-plexinA3複合体→転写制御因子myogenin-MEF2D→抗疲労性myosin)が活性化した.また,クロロゲン酸を主成分とするポリフェノール混合物を成熟ラットに8週間給餌すると(添加濃度0.5%),後肢下腿部筋のmyosinアイソフォーム組成が抗疲労性方向へシフトし筋持久力が向上することが確認された.これらの結果より,クロロゲン酸がSema3A受容体のアゴニストとして抗疲労性筋線維の形成を促進すると考えられた.高齢者やスポーツ競技者などの筋疲労耐性向上への食品機能学的貢献が期待される.

「デサントスポーツ科学」第39巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 辰巳隆一, 水野谷航
大学・機関名 九州大学

キーワード

骨格筋抗疲労性筋線維食事性ポリフェノール筋幹細胞セマ3A