細胞表面に存在している糖鎖は、細胞分化や免疫反応のみならず、いろいろな分子に対する受容体としても機能しており、生体にとって重要な役割を果たしています。私たちの研究室では、この糖鎖を利用して、薬物や遺伝子、細胞などを標的となる臓器や組織へと特異的に効率よく輸送するシステムの開発を行っています。
このような輸送システムが開発できれば、薬物や細胞による治療効果を高め、副作用を軽減できることが期待されます。私たちは、すでに、骨髄細胞を糖鎖改変処理することで肝細胞との親和性を増大させて肝臓へと特異的に集積させるシステムの開発に成功しており、現在、心血管組織を標的とした輸送システムの研究を進めています。特に、心血管傷害組織で発現している新規の糖鎖結合分子の存在が確認できたことから、現在、その分子のクローニングとこれを利用した薬物および細胞輸送システムの開発を進めています。