教室の研究状況
信州大学医学部歯科口腔外科
学会報告 |
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近年、医療や健康に対する関心も高まり、快適で安全な治療を受けたいと希望する患者が増加している中、侵襲の大きな歯科口腔外科手術や全身的疾患を有する患者の歯科治療、恐怖心の強い患者の治療などに静脈内鎮静法を併用することは有用と考える。今回われわれは、1999年10月から2000年5月までにフルニトラゼパム使用による静脈内鎮静法を併用した21症例について、臨床統計的検討し、またペンタゾシンを術前投与した患者と鎮静時開始時に投与した患者について循環、呼吸器動態の比較検討を行ったので、その概要を報告した。調査項目は性別、年齢分布、全身的合併疾患、手術内容、フルニトラゼパムの投与量と投与法、麻酔時間、術中、術後の偶発症、手術開始時の循環・呼吸器動態についてである。性別は女性が多かった。年齢分布は50歳代が全症例の3分の1を占めた。全身的合併疾患を有する患者は全症例の3分の1を占めた。手術内容は抜歯が最も多かった。フルニトラゼパムの初回投与量は体重、年齢、全身的合併疾患の臨床程度などを考慮して決定した。平均麻酔時間は86.9±35.6分であった。術中の偶発症は、呼吸抑制に伴う低酸素血症が見られた。ペンタゾシンの投与方法は全身的合併疾患の臨床程度・外科的侵襲程度・手術時間の予測などを考慮して決定し、前投薬として使用した前投薬群と、麻酔開始直前に投与した直前投薬群の2群とした。麻酔開始から手術開始までの時間は、両群に大きな相違は見られなかった。ペンタゾシンの投与方法の違いによる脈拍数の変動は、両群間で著明な差が見られなかった。血圧の変動は前投薬群の方が少なかった。動脈酸素飽和度の変動は、前投薬群は麻酔開始10分後、直前投薬群は麻酔開始直後で見られた。以上から、ペンタゾシンの前投薬は循環・呼吸器動態の変動を少なくし、周術期の循環・呼吸器動態の変動により生ずる偶発症を回避する上で有用と考えた。 |
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Department of Dentistry and Oral Sirgery,
Shinshu Univbersity School of Medicine