信州大学医学部歯科口腔外科
Department of Dentistry and Oral Surgery, Shinshu University School of Medicine

第19回日本顎関節学会総会
(2005年7月30-31日、松江市)
研究状況のページに戻る
画像検査所見における長期変化の比較-関節鏡視下手術症例vs保存的治療症例-
信州大学医学部歯科口腔外科
相澤病院歯科口腔外科*
栗田 浩、上原 忍、酒井洋徳、大塚明子*、倉科憲治

【目的】関節鏡視下手術症例と保存的治療症例の画像検査上における長期的変化について比較検討する。
【対象】1991年7月から2000年12月の間にMRI検査等にて顎関節症(顎関節内障あるいは変形性顎関節症など)と診断され治療を受けた患者で、リコール検査に応じた28例(女性23名、男性5名、平均年齢36.3±15.1歳)。このうち関節鏡視下剥離授動術を受けた患者は9例11関節(以下、関節鏡群)と、保存的治療のみを受けた患者は19例24関節(以下、保存治療群)に分けて比較検討を行った。
【方法】上記対象患者の初診時およびリコール時に臨床および画像検査(MRIおよび単純X線検査)を行った。主な評価内容は、円板転位様態、転位の程度、円板の変形、下顎頭の骨変化、下顎窩の形態、下顎頭水平角、下顎頭のサイズ等である。初診からリコール検査までの期間は平均79か月(20~137)であった。
【結果】治療前の検査結果を比較すると、関節鏡群では保存治療群に比べ退行性変化が重度な症例が多かった。治療前から治療後の変化に関しては、関節鏡群および保存治療群ともに顎関節に大きな形態変化は認めなかった。非手術例に比べ手術例で治療後に円板の可動性が改善、あるいは、下顎頭のサイズが小さくなる傾向が見られたものの、両群間で有意な差は見られなかった。
【結語】関節鏡治療および保存治療いずれにおいても、治療後の形態変化は軽微であり、治療後の形態変化に差は無いと考えられた。

顎関節症の長期的な予後を左右する因子について
信州大学医学部歯科口腔外科学教室
○金子浩美,栗田 浩,上原 忍,倉科憲治

目的:この研究の目的は顎関節症の長期的な予後を左右する因子を明らかにすることである。
対象:1991年7月から2000年12月の間にMRI検査により顎関節症と診断された患者は181例で、そのうち今回のアンケート調査に協力が得られた片側性顎関節症患者49例が対象である。内訳は女性43名、男性6名、平均年齢は37.2歳であった。.当科初診から今回の調査の期間は中央値で96.2ヶ月であった。
方法:現在の顎関節の状態に関する自己評価をアンケート(郵送)により評価した。初診時の臨床的、画像診断学的所見(性別,年齢,関節円板転移,関節円板の形態,関節円板の可動性,関節頭の変形性骨変化,および関節結節の形態)が、長期予後に及ぼす影響について多変量解析を用いて評価した.
結果:患者の年齢は,顎関節部の疼痛や日常生活支障度に関して重要な予後因子であった。関節円板の可動性や関節結節の形態も,最大開口量に影響を与える重大な要因であった.患者の年齢と関節円板転移もまた,症状の再発を示唆する重要な要因であった.
結論:この研究の結果,治療後の長期的経過はほとんどの症例において良好であったと考えられた.関節クリック以外の主症状は消えたか,容認可能なレベルに維持されていた.しかしながら,若年層に発症した顎関節症の予後はやや不良であると考えられた。
研究状況のページに戻る

<所在地>
〒390-8621 長野県松本市旭3-1-1
信州大学医学部歯科口腔外科
電話;0263-37-2677 fax; 0263-37-2676
Copyright
Department of Dentistry and Oral Surgery, Shinshu University School of Medicine
*このページ作成・管理は信州大学医学部歯科口腔外科学教室が管理しています。
このサイトに関するご意見、ご感想、ご提案等は hkurita@hsp.md.shinshu-u.ac.jp