信州大学医学部歯科口腔外科
Department of Dentistry and Oral Surgery, Shinshu University School of Medicine

第17回日本顎関節学会総会
(2004年7月4ー5日、新潟市)
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画像検査にて病態が明らかな顎関節症患者の治療後の経過に関す
るアンケート調査結果
○上原 忍、栗田 浩、酒井洋徳、大塚明子、倉科憲治

顎関節症は慢性的疾患と考えられており、治療も機能回復に重点をおいて行われているが、医療機関での
治療後も潜在的な病変の進行や症状の再燃が危惧される。そこで今回われわれは、画像検査で顎関節症の
病態が明らかな患者を対象に、当科治療後の経過についてアンケート調査を行いその概要を報告した。
【目的】顎関節症治療後の経過を調査し、再発の頻度等を明らかにすること。
【対象】1991年7月から2000年12月の間にMRI検査等にて顎関節症と診断され、当科にて加療し治療の
終了した193例(男性43名、女性150名)。
【方法】上記対象患者に対し、現在の症状に関するアンケート調査を郵送にて行った。アンケートの返事は
59名から得られ、回収率は31%であった。また、初診からアンケート郵送の期間は平均94か月(42~
145)であった。
【結果】 顎関節症分類では、型が3例、。a型が10例、。b型が27例、「型が19例であった。型顎関
節症患者の当科最終来院時の状態は3例とも軽快で、開口時の顎のひっかかりを感じる症例が2例、クリッ
クを自覚している患者が2例であった。。a型患者では10例中9例に引っかかり感があり、クリックを自覚
している患者が10例中9例に認められた。また、治療を中断した患者4例すべてが現在の生活に支障がある
と解答した。。b型患者では、“ひっかかり感あり”と解答した患者が、最終来院時に軽快であった患者19例
中で10例、不変であった患者では5例中で4例、中断した患者では3例中の3例でした。また、クリックが
あると解答した患者は、最終来院時の状態が不変であった患者5例中3例、治療を中断した3例中3例であった。
「型患者最終来院時の状態が不変、あるいは治療を中断した患者が、“ひっかかり感あり”と解答する傾向が
多く見られ、関節雑音については、ほとんどの症例で再発あるいは残遺していた。全症例で、疼痛や開口障害、
生活への支障があると解答した患者は少数でした。
【結語】治療後には疼痛および開口量はほぼ良好にコントロールされているのに対し、多くの症例で顎運動時
のひっかかり、関節雑音が後遺していいた。顎関節症治療終了後の、疼痛、開口量、生活支障の程度に関して
は、おおむね良好であり十分なコントロールがなされていました。

顎関節症長期経過後の画像検査所見
○栗田 浩、上原 忍、酒井洋徳、大塚明子、倉科憲治

【目的】MRIを含めた画像検査により病態が明らかな顎関節について、長期経過後の画像検査上の変化に
ついて調査検討する。
【対象】1991年7月から2000年12月の間にMRI検査等にて顎関節症(顎関節内障あるいは変形性顎関
節症など)と診断され治療を受けた患者で、リコール検査に応じた21例33関節(女性16名、男性5名、
平均年齢43歳)。
【方法】上記対象患者のリコール時に臨床および画像検査(MRIおよび単純X線検査)を行った。その結
果と患者の初診時に行った臨床および画像検査所見との比較検討を行った。主な比較内容は、@円板転位
様態、A円板転位量、B円板の変形、C円板の可動性、D下顎頭の骨変化、E下顎窩の形態、F下顎頭水
平角、G下顎頭の水平サイズ、H下顎頭外側極付近の吸収等である。初診からリコール検査までの期間は
平均96か月(46~138)であった。
【結果およびまとめ】治療終了後の顎関節において1,関節円板は有意に変形が進行していた。2,関節
円板の可動性が増加、下顎頭の変形性骨変化が増加および関節結節の平坦化が増加する傾向を認めた。

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