平成16年度修士論文
 岡田 知明

超高分解能衛星を利用した都市内環境の把握
〜 都市内の緑被の抽出と自動車交通に利用される土地の抽出 〜


研究背景と目的

 都市環境や地球環境の保全という視点から、マイカー利用に過度に依存しない都市というものが求められているのは、既に世界の潮流である。そのような中、TOD (公共交通指向型都市開発)という言葉が使われるようになった。TODとは、自家用車に依存することなく公共交通機関を最大限に活用しようという試みであり、都心部での再開発や郊外部での住宅地整備の際に考慮すべきものである。一方、長野市はマイカー利用に依存した、いわゆる自動車社会となっている。公共交通機関の整備が不十分であることから交通体系が自動車中心となっており、住民の意識や自治体による交通網整備のあり方も自動車中心の偏ったものとなっていた。しかし現在は、過度な自動車への依存を改め、バランスのとれた公共交通網の関係を模索する動きが出ている。また、都市環境や地球環境の保全という視点からの都市開発で求められるものには緑の充実も挙げられる。緑は都市域においては、都市景観の向上への貢献、都市災害の緩和をするだけでなく、都市環境や大気汚染にも大きな影響を及ぼす。そのため、各自治体は「緑の基本計画」などを策定し、都市内緑被の充実に努力を続けている。本研究の対象地域である長野市も同様である。しかし、長野市の現状は、周囲の山間部に比べて都市内緑被が、特に中心市街などで非常に不足していると言われている。以上のように、長野市において道路や駐車場と緑は非常に重要な都市環境の一つである。それらの分布状況や面積を調査することは、今後都市域で再開発をする上で必須条件である。  近年、分解能が1m以下の高分解能衛星が提供されるようになった。これまで主要な商業用衛星であったLANDSATやASTERではできなかった詳細な解析を行えるようになってきた。そこで本研究では高分解能衛星IKONOSとQuickBirdを用いて緑の抽出、道路や駐車場などの自動車に利用される「車輌スペース」の抽出を試み、その精度や有用性について明らかにすることを目的とした。





論文TOPに戻る場合は、 Laboratory Subjects をクリックしてください。