平成16年度修士論文
 天野 雄一朗

ハイパースペクトルデータAVIRISを利用した都市域植生分類精度に関する研究
〜コロラド州ボウルダーにおける詳細な植生把握〜


研究背景と目的

都市域の緑は都市環境を考える上で重要な要素である。人間の生活面においては、レクリエーション施設や公園など市民の憩いの場所としての役割や、都市災害の防止の効果がある。また熱環境の面においては、緑被の増加によるヒートアイランド効果の低減などがあげられる。平成6年度の都市緑地保全法の改定を受けて、各地方自治体で「緑の基本計画」の策定が行われてきている。しかし、都市域の緑被図は航空写真を使用して、地方自治体職員が労力を使い現地調査を行ったり、航測会社などに委託して作成されているのが現状である。こうした調査は時間、経費がかかるために一度調査が行われたあとは、更新が困難である。都市内の緑は開発などによって頻繁に変化しているため、現状を正確には把握できていない。本研究はリモートセンシング技術を用いて、こうした都市内の詳細な緑の把握を試みるものである。 既往の研究では高分解能衛星IKONOSなどのデータからリモートセンシング技術を用い都市内の細かな緑被を抽出することには成功している。しかし、都市熱環境を解析する際には緑被率などの情報のほかに植生の分類や状態把握などのより詳細な情報が必要となってくる。高分解能衛星データでは、バンド数の少なさから都市域についての詳細な植生分類を行うのは困難である。小松、梅干野らは、高分解能航空機センサーを使用した里山、都市域の植生分類を行っている。この研究では里山において植生を群落ごとに 細かく8種類に分類している。都市域においては樹木と草地の2種類の分類を行っているが、詳細な植生分類は行っていない。 近い将来、日本においても高空間分解能、高波長分解能のハイパースペクトルデータが利用可能になると考えられ、その解析・利用方法の確立が望まれる。そこで、本研究は高空間分解能、高波長分解能のハイパースペクトルデータAVIRISを利用し都市域の詳細な植生図を試作し、精度の検証を行うことを目的とする。解析に使用したデータは米国コロラド州コロラド大学のCSES(Center for the Study of Earth from the Space)から提供を受けた、Boulderエリアのデータである。このデータを用い、実測調査を踏まえて解析・検討を行った。なお同時期・同地域のQuick Bird衛星データを解析して、両データの相違についても検討を加えた。





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