都市の気候に関して、現在ではすでに様々な調査や計測が行われてきており都市気候の実態が明らかになってきている。しかし解析対象となる都市の多くは大都市であり、人口20万〜40万程度の地方都市においてはまだその実態が明らかにされていない部分がある。
そのため本研究室では内陸部の地方都市である松本市、長野市、及び前橋市周囲における気温や湿度などを実測調査して気温性状を分析してきている。これらの都市は総合的に見れば、気温の変動が激しいなど内陸性の都市気候を示すといえるが、いくつかの気象に関しては異なる特徴を示しており、一概に括るわけにはいかない。そこで内陸部の地方都市の気候実態を明らかにしていく為に甲府と岐阜を今回の解析対象都市とすることにした。
また地域にはそれぞれ気候特徴があるが微気候という地表面近く、高さ2m以下のいわゆる接地気気層の気候が存在する。これは地表面の性状を強く反映し、また地形、地物などの影響も受けて、数km程度の比較的狭い地域内でも顕著な局地性を示す。地被材料により地表面温度は異なり気温や湿度も影響を受ける。よって微気候を把握することは土地における建築物や都市公園の形成に対して一般的な気候の欠点などを補うのに役立つと思われる。
この微気候の形成に大きく関連する影響因子は、その土地被覆によるものが大きいことが明らかになってきている。そのために正確な土地被覆を把握することが都市の気候特徴を知るために有効であると考えられる。しかしこれらを把握するためには気象台のデータだけでは困難であるのが現状である。正確な土地被覆を把握するためにはリモートセンシングデータは精度が高く、都市の現状を把握するためにも有効であると思われる。そこでリモートセンシングデータを用いて正確な土地被覆を把握し、四季を通した1年間に渡る定点観測及び広域性のある自転車による移動測定により、土地被覆が微気候にどの様な影響を与えているのかを分析し、甲府と岐阜の微気候を明らかにすることを目的とする。
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