金 早雪

1. 韓国の経済（労働）・社会保障政策
2. アジア経済

目下の主要研究テーマは韓国の社会保障政策です。韓国では、1987年の「民主化特別宣言」直後の大労働争議が単発に終わったのに対して、1994年、ソ ウルの老夫婦が生活保護基準の違憲提訴（生存権・幸福追求権の侵害）を契機に、これを支援した市民団体「参与連帯」などによる国会請願で、社会保障基本法 の制定（1995年）、次いで1999年に生活保護法を国民基礎生活保障法への改正などが相次ぎ、「福祉革命」ともいうべき一大転換を遂げました。他方、 1997年末のIMF通貨危機以来の経済政策・労働市場の改革で、非正規労働の増加や二極化現象、女性の社会進出、少子高齢化なども重要政策課題とされて います。こうした諸問題について、日本のほか欧米やアジア諸国との比較も視野に入れて研究しています。

・金早雪「韓国における生存権保障政策の展開：『福祉革命』への道」，鹿児島国際大学『地域経済政策研究』第10号（本多健吉教授追悼号），2009年3月，pp.47-79。　・金早雪「韓国における高齢化と社会保障」，日本貿易振興機構・アジア経済研究所『新興諸国における高齢者をめぐる問題と現状』2009年3月：pp.1-32.　・金早雪「日韓労働力移動の史的変遷と現代の在日外国人」，弁納才一・鶴園裕編『東アジア共生の歴史的基礎』御茶の水書房，2008年，pp.89-135。　・金早雪「大韓民国」，荻原康生ほか編『世界の社会福祉2008』旬報社，2008年，pp.275-329。　・金早雪「韓国の先進国化過程における労働と福祉の位相：新自由主義と普遍主義のポリシーミックス」、宇佐見耕一編『新興工業国における雇用と社会政策』ジェトロ・アジア経済研究所2007年12月：第5章、pp.183-224（査読あり）。・岩本武和・奥和義・小倉明浩・金早雪・星野郁（共著）『グローバル・エコノミー（第2版）』有斐閣アルマシリーズ（初版2001年）、2007年：第7 章「東アジアの『奇跡』は終わったのか」（pp.201-232）、第8章「アジア地域経済圏」(pp.234-267）。・金早雪「大韓民国」，『世界の社会福祉2007』旬報社，2007年，pp.271-318。・金早雪「韓国の労働市場、労働運動、および労働政策」、ジェトロ・アジア経済研究所『アジア経済』（2007年1月、第48巻第1号、pp.32-51）（査読あり）。・金早雪「大韓民国」、『世界の社会福祉2006』、旬報社，pp.285-313、2006年。・金早雪「韓国の雇用・労働政策の変遷、現状及び課題」、宇佐見耕一・牧野久美子編『新興工業国における雇用と社会政策：資料編』調査研究報告書ジェトロ･アジア経済研究所、2006年、第３章。・金早雪「韓国・公的扶助の救護・保護から普遍的最低生活保障への転換」（宇佐見耕一編『新興工業国の社会福祉』、ジェトロ・アジア経済研究所、2005 年、第3章、p・金早雪「看護・介護職外国人労働合法化と外国人施策の課題」、国際経済労働研究『Int'lcowk』2005年7月、pp.7-12。・金早雪翻訳「『自由主義論』の内容と評価」「韓国福祉レジームの性格に関する経験的研究」（原著者は共にナム・チャンソプ、金淵明編『韓国福祉国家性格論争1』人間ト福祉、ソウル、2002年所収）、韓国社会保障研究会訳『韓国社会福祉論争』流通経済大学出版会、2005年11月、各、第3編第2章 pp.213-228、第4編第3章pp.409-438。・金早雪「社会保障制度の確立」、朴一編『変貌する韓国経済』世界思想社、2004年、第9章、pp.183-200。・Jo-Seol KIM（金早雪） ‘Formation and Development of the Welfare State in the Republic of Korea', The Developing Economies, Vol.XLⅡ, No.2,June 2004, Institute of Development Economies（Chiba）pp.146-175。（査読あり）・金早雪「IMF体制と『韓国型福祉国家』」、『海外社会保障研究』2004年春（3月）、pp.43-53。・金早雪「韓国型『福祉国家』の始動：国民基礎生活保障法（1999/2000年）を中心に」、宇佐見耕一編『新興福祉国家論』アジア経済研究所、 pp.85-134、2003年。（査読あり） ・金早雪「韓国型『福祉国家』への政治社会力学」、『朝鮮奨学会学術論文集』第24集、pp.1-26。教授の一例―」