根系形成の推移パターンの簡易推定法の開発と
  根への最適投資戦略の検討


本課題はイネおよび普通ソバの両方について同様に行なっています。

作物の生産力をより高めて行くための方法の一つとして、根の機能を改善したり、
根の生長をコントロールすることが考えられますが、これらを実現するためには、
まず、根の機能や生長を簡単に調べられるようにすることが必要です。

本研究室では、根を調べる方法のひとつとして、根箱(根が見えるように
透明な側面をもつ箱)を使った調査や、新根のみをサンプリングする方法を使った
調査を行なっています。

また、根の呼吸活性(データを得るには当然呼吸測定装置が必要だし、
根を傷めないように採取しないと良いデータが得られないなど、
測定は結構厄介)を根の重さの測定だけで推定する方法の開発)を進めています。




根箱による調査

登熟や収量を高めるには登熟期の根の活性が高いことが望まれる。

例えば、21世紀のアジア地域の主力品種として国際イネ研究所(IRRI)で開発中の多収品種(New Plant Typeと呼ばれる)は超多収の潜在能力を持つが、登熟が充分でない場合が多く、潜在能力を発揮しきれていない。これは登熟期の根の活性に問題があるためと考えられている。

根の機能の大幅向上には栽培法だけでなく、育種的改良も必要だが、根量や根の活性といった形質は調査に多大な労力がかかるため、育種を効率的に進めるのが難しい。

そこで、根の機能の簡便評価手法を検討している。また、New Plant Typeを含む熱帯イネ(水稲と陸稲)の根の生長と機能についてIRRIとの共同研究を進めました(1999-2000年)。
成果の一部は4th Asian Agricultural Congress (2001)で発表。


根箱による根系観察(上)とピンボード法
による根系採取(下)



根の呼吸活性の簡易評価法の開発

根の活性の測定容易な新しい評価法として、根の乾物率(乾物重/新鮮重)が有望なことをこれまでに明らかにしている。

根の研究7: 101-104. (1998)、International Symposium on Root Research (2001)など。

現在、日本型のイネのコシヒカリとインド型のイネ、あるいは移植イネと直播イネを用いて根乾物率による根活性の評価の有効性や根の乾物率、根系発達状況の違いを調査中。
また、普通ソバについても同様の調査を行なっている。

[ 右図 ] 栽培条件の異なるコシヒカリについて、根の活性の指標である根の呼吸速度は根の乾物率と相関関係を示す(作物学会講演会で発表 1999)。


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