普通ソバの受精・結実率におよぼす水ストレスの影響

普通ソバの受精・結実率におよぼす水ストレスの影響の解析




普通ソバは昆虫によって花粉が運ばれて受精する。
受精率には昆虫活動も関係するので昆虫の調査もしている。


普通ソバは多数の花を咲かせるが結実は少なく、収量は一般に低い。その最大の理由は受精率が低いこと。

受精率の改善を目標とし、受精率が栽培環境条件によってどのように影響されるかを解析している。乾燥や過湿のストレス条件でも受精率や結実率が高く、収量が高い品種の選抜につなげて行くことを目標としている。

放射温度計による
葉温の測定


土壌が乾燥して蒸散が妨げられると葉温が上昇する。
よって、葉温は植物が受けている水ストレスの程度を表す。





土壌水分が少なくなるほど、生育だけでなく受精率も低下するが、「モジュール」という考え方に基づく受精率を用いると、土壌水分状態との受精率との関係が明瞭に捉えられることが分かってきた。

水ストレス程度と受精率や結実実との関係について、普通ソバの受精上重要な役割を果たす、訪花昆虫の調査、気象条件(植物生育だけでなく訪花昆虫活動にも影響する)、さらには、受精能力を持たない花(不完全花という)の発生頻度などの調査を通じて解析を進めている。
水ストレス(土壌の乾燥)程度は、標準区が最も弱く、 3L区は中間、1L区が最も強い。

M. Hagiwara, A. Ota and N. Inoue 2001. Proceedings of the 8th International Symposium on Buckwheat,
Advances in Buckwheat Research (I), 71-78.

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