関連情報 (新聞記事は掲載後日数が経つとリンクが切れることがあります)
   この授業の理解の助けとなる情報や、トピック的な農業関連情報をピックアップして適時掲載します

植物って不思議! (written by M. Hagiwara)

植物の寿命や形は、動物の寿命や形に比べると、はるかに変異が大きく、植物の寿命や形は、ほとんど定まったものではないのです。植物には決まった寿命や形はない!これって、不思議なことと思いませんか? 続きはこちら

4.25 「乾燥に強い植物できた」 朝日新聞4.22記事より

植物が乾燥から身を守るメカニズムとして気孔の開き具合(気孔開度)の調節は非常に重要なものだが、気孔開度の調節には植物ホルモンの1つであるアブシジン酸(ABA)が関与していることが知られている。つまり、植物体内のABAの量をうまくコントロールできれば植物の耐乾性を高められることが期待できる。

さて、記事によれば、ABAの生産に関係する遺伝子は以前に見つかっていたが、理化学研究所の研究チームが、シロイヌナズナの遺伝子を解析し、ABAの分解に関係する遺伝子を新たに見つけた。この遺伝子の発現量を調節することで、植物体内のABAの量を変えることができたという。イネなどにも同じ遺伝子があると考えられ、乾燥地帯での食糧増産に応用可能とのこと。

本講義では植物の乾燥ストレスについて話す予定なので、とても関連深い情報だ。新たに発見された遺伝子をうまく使えばABAの分解が抑制されて、作物の耐乾性が高まることは期待できるが、作物の生産性が高まるとは一概には言えないだろう。と言うのも、ABAは気孔を閉じさせる作用をもつから、光合成の抑制も起こると考えられるからだ。また、ABAは葉の老化も促進する。ABAは植物の光合成生産に関しては抑制効果をもたらすと考えられる。つまり、「作物体内のABAを増やせば乾燥地帯での作物生産が向上する」という単純な話には残念ながらならないと思われる。が、ABAの調節に関わる遺伝子の発見は耐乾性と光合成生産をより高いレベルで両立させるための重要な手がかりの1つになりうるだろう。